「空き家が900万戸もあるのに、なんで都内の家はこんなに高いの?」。家賃の値上がりに悩みながら空き家のニュースを見て、そう感じたことはありませんか。

結論から言うと、東京の空き家の約7割は、入居者を待っている賃貸の空室です。貸す予定も売る予定もない「使い道未定の空き家」に絞ると、東京の割合は2.6%で全国で最も低くなります。空き家の数が多いことは、家が余っていることを意味しません。

私は宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)を持ち、今は不動産テック企業でAIを使った不動産価格の査定システムを開発しています。この記事では、総務省の最新調査(2023年10月時点)の元データを自分で集計し、東京23区・都道府県・千葉の5市の空き家率を「種類別」に並べ直しました。

読み終えるころには、空き家率を「空室が多いだけなのか、使われない家が増えているのか」で見分けられるようになります。移住先を選ぶとき、ニュースの数字に振り回されず、街の将来を自分で判断する物差しが1本増えるはずです。

日本の空き家は900万戸、45年で3.4倍に増えた

日本の空き家は、2023年10月時点で約900万戸です。住宅全体に占める割合(空き家率)は13.8%で、どちらも過去最高を更新しました。

空き家が増える理由はシンプルで、住宅の数が、住む世帯の数よりも速いペースで増えてきたからです。2023年の総住宅数は約6,505万戸。そのうち人が住んでいる住宅は約5,567万戸で、残りの多くが空き家になっています。

総務省が5年ごとに行う「住宅・土地統計調査」で推移を見ると、1978年には268万戸でした。45年で約3.4倍です。

全国の空き家数の推移(1978〜2023年)

全国の空き家数の推移(1978〜2023年)空き家は1978年の268万戸から2023年の900万戸へ増加。うち使い道未定の空き家は98万戸から386万戸へ増加。02004006008001000万戸268197833083394884489357698659200375708820138491890023賃貸用・売却用・別荘など使い道未定の空き家

出典:総務省「住宅・土地統計調査」時系列統計表(第1-1表)をもとに筆者作成。各年10月1日時点。棒の上の数字は空き家の総数(万戸)

今後の見通しとして、野村総合研究所は2043年に空き家が1,861万戸、空き家率は25.3%(約4戸に1戸)まで上がると予測しています(2024年6月発表)。

ただし、予測は外れることもあります。同社が2023年6月に出した予測では、2023年の空き家率は17.4%でした。実際は13.8%で、同社自身は、単身世帯が増えてアパートやマンションが予想より埋まったことが外れた理由だと分析しています。

一方で、同じ予測の中で注意したいのが一戸建てです。傷みや壊れた箇所がある一戸建ての空き家は、2023年の82万戸から2043年には165万戸と、2倍以上に増える見込みとされています。

空き家が増え続けているのは事実です。ただ、全体の数だけを見ると判断を誤ります。次の見出しで、空き家の「中身」を分けて見ていきます。

空き家は「賃貸の空室」と「使い道未定の家」に分けて見る

空き家の数字を読むときは、「賃貸の空室」と「使い道未定の家」を分けて見るのが大切です。この2つは、同じ空き家でも意味がまったく違うからです。

総務省の調査では、空き家を4種類に分けています。

種類戸数空き家全体に占める割合どんな家か
賃貸用の空き家443.6万戸49.3%入居者を募集中の賃貸住宅
使い道未定の空き家385.6万戸42.8%長期不在や取り壊し予定など、貸す・売る予定がない住宅
二次的住宅38.4万戸4.3%別荘や、残業時などにたまに寝泊まりする家
売却用の空き家32.6万戸3.6%買い手を募集中の住宅

出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」表1-2-1(2023年10月時点)。「使い道未定の空き家」は、統計上の「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」を、この記事でわかりやすく言い換えたものです。

空き家全体の約半分は「賃貸用の空き家」、つまり入居者募集中の部屋です。賃貸住宅は入居者が入れ替わるたびに空室ができるので、ある程度の空室は市場が動いていれば必ず生まれます。

一方、「使い道未定の空き家」は、転勤や入院などで長く人が住んでいない家や、取り壊す予定の家などです。いわゆる「放置された空き家」もここに含まれます。

そして、この使い道未定の空き家のほうが速く増えています。1978年の約98万戸から2023年の約386万戸へ、45年で約3.9倍。空き家全体の3.4倍を上回るペースです。

✅ この記事での見方

賃貸の空室が多いのは「人の出入りが多い街」でも起こります。街の弱さが表れやすいのは、使い道未定の空き家の割合です。以降は、空き家率とあわせてこの割合を並べていきます。

※これは統計の定義をもとにした筆者の見方です。使い道未定の空き家にも、相続の手続き中など事情のある家が含まれます。

都道府県別の空き家率ランキング

都道府県別の空き家率は、四国・紀伊半島・山梨・長野・鹿児島で高く、埼玉・沖縄・神奈川・東京で低くなっています。最も高い徳島県(21.3%)と最も低い埼玉県(9.3%)では、2倍以上の差があります。

傾向としては、人口が集まる首都圏・中部・福岡・沖縄は低く、人口が減っている地方ほど高い。住宅を必要とする人の数が、地域によって大きく違うからです。

都道府県別の空き家率(2023年)

都道府県別の空き家率(2023年)空き家率は四国・紀伊半島・山梨・長野・鹿児島で高く、埼玉・神奈川・東京・沖縄で低い。北海道 15.6%北海道青森県 16.7%青森秋田県 15.8%秋田岩手県 17.3%岩手山形県 13.5%山形宮城県 12.4%宮城石川県 15.6%石川富山県 14.7%富山新潟県 15.3%新潟福島県 15.2%福島島根県 17.0%島根鳥取県 15.7%鳥取兵庫県 13.8%兵庫京都府 13.1%京都福井県 15.6%福井岐阜県 16.1%岐阜長野県 20.1%長野群馬県 16.7%群馬栃木県 16.9%栃木茨城県 14.1%茨城山口県 19.4%山口広島県 15.8%広島岡山県 16.5%岡山大阪府 14.2%大阪奈良県 14.6%奈良滋賀県 12.3%滋賀愛知県 11.8%愛知山梨県 20.4%山梨埼玉県 9.3%埼玉東京都 10.9%東京千葉県 12.3%千葉佐賀県 14.5%佐賀福岡県 12.4%福岡愛媛県 19.8%愛媛香川県 18.6%香川和歌山県 21.2%和歌三重県 16.3%三重静岡県 16.7%静岡神奈川県 9.8%神奈長崎県 17.3%長崎熊本県 14.9%熊本大分県 19.1%大分高知県 20.3%高知徳島県 21.3%徳島鹿児島県 20.5%鹿児宮崎県 16.3%宮崎沖縄県 9.4%沖縄11%未満11〜13%13〜15%15〜17%17〜19%19%以上太枠は東京都と千葉県。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」をもとに筆者作成

位置は実際の地図ではなく、都道府県を同じ大きさのマスで並べたものです。

空き家率が高い10県と低い10都県は次の通りです。

空き家率が高い都道府県

順位都道府県空き家率使い道未定の空き家率
1徳島県21.3%12.2%
2和歌山県21.2%12.1%
3鹿児島県20.5%13.6%
4山梨県20.4%8.7%
5高知県20.3%12.9%
6長野県20.1%8.9%
7愛媛県19.8%12.2%
8山口県19.4%11.1%
9大分県19.1%9.6%
10香川県18.6%9.7%

空き家率が低い都道府県

順位都道府県空き家率使い道未定の空き家率
47埼玉県9.3%3.8%
46沖縄県9.4%4.0%
45神奈川県9.8%3.2%
44東京都10.9%2.6%
43愛知県11.8%4.3%
42滋賀県12.3%7.3%
41千葉県12.3%5.0%
40福岡県12.4%4.6%
39宮城県12.4%4.6%
38京都府13.1%6.2%

出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」表1-2-1(2023年10月時点)をもとに筆者算出。

使い道未定の空き家率で並べ替えると、1位は鹿児島県(13.6%)、2位は高知県(12.9%)。最下位は東京都(2.6%)で、神奈川県(3.2%)、埼玉県(3.8%)と首都圏が続きます。

⚠️ ネットの数字とずれる場合

2024年4月に出た速報値と、同年9月に出た確定値では、19の都府県で空き家率が変わっています。ネット上には速報値のまま紹介している記事も多く、順位が入れ替わっていることがあります。この記事は確定値をもとに計算しています。

都道府県単位で見ると、首都圏は空き家の「少ない」側です。ただ、東京の中身を区ごとに分けると、また違った姿が見えてきます。

東京23区の空き家率ランキング、1位の豊島区はほぼ賃貸の空室

東京23区の空き家率は平均10.9%です。区別では豊島区(13.9%)が最も高く、港区(13.7%)、荒川区(12.9%)が続きます。最も低いのは江東区(9.0%)でした。

ただし、空き家率1位の豊島区は、空き家のうち使い道未定のものがわずか6%です。残りのほとんどは賃貸の空室です。東京都全体でも、空き家の約7割(約63万戸)が賃貸用の空き家でした。

順位区空き家数(戸)空き家率空き家のうち使い道未定の割合
1豊島区29,81013.9%6%
2港区24,36013.7%10%
3荒川区16,92012.9%31%
4千代田区5,30012.6%11%
5中野区28,62012.1%7%
6北区25,46011.9%17%
7葛飾区29,42011.8%20%
8墨田区20,50011.7%18%
9板橋区42,49011.7%24%
10渋谷区19,67011.2%5%
11新宿区29,18011.2%5%
12中央区11,72011.0%46%
13足立区43,85010.9%25%
14世田谷区58,85010.9%41%
15大田区48,88010.8%19%
16目黒区18,25010.7%18%
17文京区15,67010.5%44%
18台東区15,39010.5%66%
19品川区26,68010.1%21%
20杉並区34,8709.5%18%
21練馬区39,7709.5%20%
22江戸川区34,1309.3%46%
23江東区26,9509.0%25%
23区全体646,80010.9%23%

出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」表1-2-1(2023年10月時点)をもとに筆者算出。空き家率の多い順。

表の右端を見ると、区ごとの違いがよくわかります。渋谷区・新宿区は使い道未定の割合が5%、中野区が7%。単身者向けの賃貸住宅が多い区では、空き家のほとんどが入居者の入れ替わりで空いている部屋です。

逆に、台東区は空き家の66%が使い道未定で、23区では目立って高い数字です。ただ、その理由まではこの統計からは読み取れません。

空き家の数そのものは、世田谷区(約5.9万戸)が最多でした。これは住宅の数自体が23区で最も多いためで、空き家率は10.9%と23区の平均並みです。

23区の空き家率が高く見えるのは、賃貸の空室が多いからです。「空き家が多い区=住みにくい区」ではない、というのが数字から見える結論です。

空き家が多いのに都内の家が安くならない理由

空き家が多いのに都内の家が安くならないのは、東京の空き家のほとんどが、貸す・売るために市場に出ている家だからです。「使われずに余っている家」は、実は全国で一番少ない状態です。

数字で並べると、東京の特徴がはっきりします。

項目(東京都)数字全国での位置
空き家の数89.7万戸最も多い
2018→2023年の空き家の増加数約8.7万戸最も多い
空き家率10.9%低い方から4番目
使い道未定の空き家率2.6%最も低い

出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」表1-2-1、時系列統計表(第3表・第4表)をもとに筆者算出。

東京は空き家の数も増加数も全国1位です。それでも使い道未定の割合が最も低いのは、空いた家がそのまま放置されず、貸す・売る・建て替えるのどれかに回っているからだと考えられます。住みたい人が多い場所では、空き家は長く空き家のままでいられません。

つまり、東京の空き家の多さは「家が余っているサイン」ではなく、「人と家の出入りが多いサイン」に近いものです。ここから先は私の見方ですが、空き家のニュースを見て「そのうち都内の家も安くなるかも」と待つのは、根拠としては弱いと思います。

東京の家がそもそもなぜこれほど高いのかは、土地の値段や建築費も含めて別の記事で詳しくまとめています。

▶ 東京のマンションが高すぎる理由と、千葉が合理的な選択になっている構造

千葉の空き家率、八千代市は東京23区のどの区よりも低い

千葉県の空き家率は12.3%で、全国平均(13.8%)より低くなっています。使い道未定の空き家率も5.0%と、全国で9番目に低い水準です。

ただし、県内の差はとても大きいです。勝浦市は41.0%、鴨川市は31.3%、南房総市は29.5%と、外房・南房総では3〜4戸に1戸が空き家です。一方で、浦安市は6.4%、八千代市は6.7%と、全国でもかなり低い水準にあります。

都内に通勤できて、広い家が手に届く5市(佐倉・八千代・四街道・印西・成田)を並べると、次のようになります。

市空き家率使い道未定の空き家率空き家のうち使い道未定の割合
八千代市6.7%1.8%27%
四街道市10.8%4.9%45%
印西市11.2%4.1%36%
成田市11.4%4.2%37%
佐倉市11.5%7.7%67%
(参考)東京23区10.9%2.5%23%
(参考)千葉県全体12.3%5.0%40%
(参考)勝浦市41.0%9.1%22%

出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」表1-2-1(2023年10月時点)をもとに筆者算出。

目を引くのは八千代市です。空き家率6.7%は、東京23区で最も低い江東区(9.0%)よりも低い数字です。使い道未定の空き家率も1.8%と、23区全体(2.5%)を下回っています。「郊外は空き家だらけ」というイメージとは、逆の結果でした。

▶ 八千代市への住み替えガイド(八千代緑が丘の街の特徴)

四街道市・印西市・成田市は、空き家率が11%前後で23区とほぼ同じ水準です。成田市については、当サイトでも単独の記事を準備しています。

佐倉市は使い道未定の空き家が多い。でも駅近はすぐ建て替わる

5市の中で気をつけて見たいのが佐倉市です。空き家率は11.5%と他の市と大差ありませんが、空き家のうち使い道未定の割合が67%と、5市で最も高くなっています。

ただ、統計が出しているのは市全体の数字です。同じ佐倉市の中でも、場所によって空き家の「その後」はかなり違います。

私の住む志津・ユーカリが丘周辺の実感

空き家は、それなりに目にします。ただ、場所によってはずっと空いていることはありません。空いているなと思ったら、すぐに更地になって建て替えや新築が始まり、その家もすぐに売れていきます。

※筆者の生活圏で見ている実感です。統計で確かめたものではありません。

佐倉市の使い道未定の割合が高いのに、駅の近くでは空き家がすぐ建て替わっている。この2つは矛盾しません。市全体の数字には、駅から離れた古い住宅地の空き家も含まれるからです。どの地区に使い道未定の空き家が多いのかは、市単位の統計では分からないため、ここは私の推測です。

不動産営業をしていたころ、空き家の売却や査定の相談を年に5件ほど受けていました。その経験からも、空き家率は「その市を検討リストに入れるか」を決める入口の数字として使い、最後は候補の駅の周りを実際に歩いて確かめるのが確実だと考えています。見るポイントは、空き家がどれくらいの期間で次の使い道に変わっているかです。

佐倉市の中で、どの地区の地価が上がり、どこが下がったのかは、公示地価をもとに地区別に検証した記事があります。空き家率とあわせて見ると、エリアの選び方がより具体的になります。

▶ 佐倉市の地価はどこが上がった?2021〜2026年を地区別に検証

まとめ:空き家率は「使い道未定の割合」で見ると家選びに使える

この記事では、総務省の最新データ(2023年10月時点)をもとに、空き家を種類別に分けて見てきました。

  • 日本の空き家は約900万戸で、45年で3.4倍。ただし約半分は賃貸の空室
  • 東京23区の空き家率1位は豊島区(13.9%)。でも空き家の94%は使い道が決まっている
  • 東京は空き家の数が全国最多なのに、使い道未定の空き家率は2.6%で全国最低。空き家が多いから家が安くなる、とは言えない
  • 千葉の八千代市は空き家率6.7%で、東京23区のどの区よりも低い
  • 佐倉市は使い道未定の割合が高いが、駅の近くでは建て替えが進んでいる

空き家率を「空室が多いだけか、使われない家が増えているか」で見分けられれば、移住先の候補を数字で絞り込めます。ニュースの見出しに不安をあおられず、「この街なら将来も人が住み続けそうだ」と自分で判断できるようになるはずです。

候補のエリアが見えてきたら、次に決めるのは「いくらまで借りられて、どこで借りるか」です。住宅ローンは借入先によって金利も審査の通りやすさも変わるので、物件探しと並行して準備しておくと、良い物件が出たときに迷わず動けます。

▶ 住宅ローンどこで借りる|借入先5タイプと審査に落ちない準備

世帯年収別に、千葉のどの路線・エリアなら現実的に家が買えるのかは、こちらにまとめています。

▶ 世帯年収600〜1,100万円別|千葉移住で現実的に買えるエリア

⚠️ 注意事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務的・投資的アドバイスではありません。記載内容は2026年9月時点の情報です(統計は2023年10月1日時点)。実際のご判断にあたっては、宅地建物取引業者・税理士等の専門家にご確認ください。

執筆日:2026年9月19日
最終更新日:2026年9月19日
情報の時点:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(2023年10月1日時点、確定値は2024年9月公表)/野村総合研究所の予測(2024年6月発表)

✍️ この記事を書いた人|ほげたろう

宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)保有。今は不動産テック企業でAIを使った不動産価格の査定システムを開発。「家を売るとき・買うときの情報格差をなくす」がミッション。飛び込み営業時代や不動産投資の失敗も含めたリアルな体験と、日々データと格闘するエンジニア目線の両方から「不動産ゼロからナビ」を運営。4人家族、地方在住。「難しそう」を「なんとかなる」に変える情報を発信中。

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