【佐倉市】なぜユーカリが丘スカイプラザ・ミライアタワーは”売りに出ない”のか
「家賃はじわじわ上がるのに、都内で買える広さのマンションはもう手が届かない」——そんな理由で、東京から千葉・神奈川・埼玉への移住を考えはじめた方、多いんじゃないでしょうか。私もこの仕事柄、同じ悩みの相談をよく受けます。
今回はちょっと趣向を変えて、日記みたいな回です。テーマは、うちの近所にある「ユーカリが丘スカイプラザ・ミライアタワー」という411戸のタワーマンション。定期的に売り出しをチェックしているのですが、ここ最近、中古が1戸も売りに出ないんです。411戸もあるのに、ゼロ。これはちょっと異常な数字です。
私は宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)を持ち、今は不動産テック企業でAIを使った不動産価格の査定システムを開発しています。これまで自宅購入2件を含めて13件の不動産取引をしてきました。その現場目線と、日々データと向き合うエンジニア目線の両方から、「なぜこのマンションはこれほど売りに出ないのか」を、公的データを添えて読み解いてみます。
読み終わるころには、「駅近・築浅・広い間取り」だけじゃない、住む人が手放さない街の”中身”の見方が、少し変わっているはずです。移住先のエリアを選ぶ目線としても、けっこう使えると思いますよ。
そもそも「ミライアタワー」ってどんなマンション?
まず結論から言うと、ユーカリが丘スカイプラザ・ミライアタワーは、ユーカリが丘のランドマーク的な大規模タワーマンションです。街を開発してきた山万(やままん)が手がけた物件で、スペックだけ見てもかなり尖っています。
公開されている建物概要をざっとまとめると、こんな感じです。
注目してほしいのは、ただの築浅タワーじゃないところ。ユーカリが丘エリア初の免震(めんしん)構造で、地震のときに建物が受ける揺れをやわらげる仕組みを持っています。さらに千葉県下で初めて「長期優良住宅」の認定を受けたマンションでもあり、首都圏で初めて顔認証システムを導入したことでも知られています。標準でLow-Eペアガラスや床暖房が入っているなど、10年以上前の物件とは思えない装備なんですね。
つまり、「駅近・免震・県内初の長期優良住宅認定・大規模」と、住宅として評価されやすい条件が最初からそろっている。ここが後の「売りに出ない」話につながってきます。
定期チェックしてるけど、ほんとに売りに出ない
結論、いま中古の売り出しが「ゼロ」の状態が続いています。これ、411戸のマンションとしては、かなり珍しいことなんです。
私は仕事柄、気になる物件の売り出し状況を定期的にチェックする習慣があります。このミライアタワーも、以前は数戸が中古で出ていた時期がありました。ところが最近になって、ぱたっと出なくなった。大手の中古ポータルを見ても「募集中の住戸はありません」「入荷待ち」の表示が続いていて、要は在庫なしの状態です。
過去に売り出された部屋の価格帯を振り返ると、専有面積55㎡〜116㎡ほど、間取りは3LDKが中心で、参考相場としておおむね2,700万〜9,800万円あたりのレンジで取引されてきました。決して安い買い物ではありません。それでも、出れば動く。むしろ「出た瞬間に決まってしまうから、市場に在庫として残らない」という感覚に近いです。
「人気マンション」という評判は前から知っていました。でも、411戸あって1戸も出ないというのは、評判のレベルを超えています。数字で見ると、その異常さがはっきりします。次でそこを掘ります。
なんでこんなに出ないの?宅建士目線で分解
結論から言うと、「売る理由がない人」ばかりが住んでいるからだと私は見ています。中古マンションが市場に出る量(流通量)は、その建物に住む人が「手放したい」と思う強さで決まります。ここはその力が、とても弱いんです。
まず「回転率」で見ると異常さがわかる
一般的に、分譲マンションは毎年一定の割合で持ち主が入れ替わり、中古市場に出てきます。411戸という規模なら、年に何戸か動いても不思議はありません。それが今、実質ゼロ。売り出しが常時何十件も出ているような近隣の中古マンションと比べると、回転率の低さは際立っています。「動かない」こと自体が、この建物の資産性の高さを物語っています。
売主が「握って離さない」3つの理由
13件の取引を経験してきた立場から、売主の心理を分解すると、だいたいこの3つに集約されます。
この3つが重なると、市場に出る量は限りなくゼロに近づきます。ミライアタワーの在庫ゼロは、偶然ではなく構造的なもの。私はそう読んでいます。
ユーカリが丘が「一等地」と言われる理由
結論、ここは生活に必要なものが徒歩圏に一通りそろう、ユーカリが丘の中でも別格の場所だからです。都内の一等地ほどではないですが(笑)、佐倉市の中では頭ひとつ抜けています。
マンションを四方から囲む環境を、方角ごとに挙げてみます。
そして、都内に通う共働き世帯に刺さるのが通勤動線です。ここ、実は駅までほぼ濡れずに行けてしまうんですね。会社が日本橋や押上のような、駅と地下でつながっているビルなら、雨の日でも傘なしで出勤できてしまう。毎朝のことなので、この差はじわじわ効いてきます。
眺望についても触れておくと、南側には古くからのタワーマンションが並んでいて、正直、南向きの眺めは開けているとは言えません。ただ、高層階からは西側にスカイツリー、冬の空気が澄んだ日には富士山まで見えるらしい、と聞きます(私は高層階の住人ではないので、ここは伝聞です)。
佐倉市の人口の”約4割”が集まる志津地区の話
結論、ユーカリが丘を含む「志津(しづ)地区」は、佐倉市の中で人が最も集まっているエリアです。感覚ではなく、データでもそう言えます。
佐倉市はいくつかの地区に分かれていますが、その中で志津地区は最も東京寄りに位置し、佐倉市の人口の約4割が住み、人口密度は市内で最も高いとされています。ユーカリが丘のニュータウンを含むこの地区は、京成線のユーカリが丘駅・志津駅を中心に、都市化が一気に進んだ場所なんですね。
これは移住を考える人にとって、けっこう大事なポイントです。人が集まっている=生活インフラ(商業施設・医療・交通)が整っている、ということ。都心へのアクセスを重視して「一都三県の外は不安」と感じている方でも、ここは”駅前に必要なものが密集した街”として選択肢に入れやすい。志津地区の中には手が届きやすい価格帯のマンションも多く、エリアとして住むハードルは決して高くありません。
ただ、その志津地区の中でも、ミライアタワーの建つユーカリが丘の中心部は”別枠”の存在感がある——という話に、次でつなげます。
住んでる人の年収が”特異値”って本当?
ここは、あくまで私が街の担当者から聞いた”雑談レベルの話”がきっかけです。曰く、この辺りにはお医者さんや、成田に通うパイロットが住んでいて、年収水準が佐倉市内では特異値(とびぬけた値)らしい、と。
断っておくと、特定の建物・エリアの住民の年収を示す公的データは存在しません。なので「ミライアタワーの住民は年収◯◯万円」とは言えません。ただ、”もし本当に医師やパイロットが多いなら、その職種の年収帯はどのくらいなのか”は、公的統計で調べられます。全国平均で見てみましょう。
| 職種 | 全国平均年収(令和6年) | 給与所得者全体との比較 |
|---|---|---|
| 航空機操縦士(パイロット) | 約1,697万円 | 約3.5倍 |
| 医師 | 約1,338万円 | 約2.8倍 |
| (参考)給与所得者全体 | 約478万円 | ― |
※厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」(医師・航空機操縦士)および国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」(給与所得者全体)より。これは職業別の全国平均であり、特定のマンションの住民の年収を示すものではありません。
パイロットは全国平均で約1,697万円、医師は約1,338万円。給与所得者全体の平均が約478万円ですから、それぞれ約3.5倍・約2.8倍という水準です。
ここで、街全体の所得水準と並べてみると、担当者の”特異値”という表現の意味が見えてきます。総務省の課税データから計算すると、佐倉市全体の納税者1人あたりの課税対象所得は、おおむね一般的な水準(2018年時点でおよそ350万円)にとどまります(この「課税対象所得」は、各種控除を差し引いたあとの金額なので、いわゆる額面年収より小さく出ます)。つまり、同じ佐倉市の中でも、医師やパイロットのような職種が集まる場所があるとしたら、それはやはり”異質”に映る、ということ。数字にすると、肌感覚がすっと腑に落ちます。
佐倉市民にとっての”ちょっとしたステータス”
結論、佐倉市に住む人にとって、ユーカリが丘の中心部に住むというのは、ちょっとしたステータスなんです。ここは完全に、市内に住む私の肌感覚の話です。
志津地区自体は、価格帯もこなれていて住みやすいエリアです。市内の人口の約4割が集まるだけあって、生活の利便性は高い。その中で、ミライアタワーの建つユーカリが丘の一等地は、やっぱり一段抜けて見える。「みんなが」とは言いませんが、佐倉に長く住んでいると、「いつかはユーカリが丘(の中心部)かな」という漠然とした憧れのようなものが、どこかにあるんですね。
だからこそ、住んでいる人は手放さないし、出れば決まる。「売りに出ない」という現象と、「ちょっとしたステータス」という空気感は、たぶん同じコインの裏表です。
まとめ|結局、一度来てみるのが早い(ケーキも忘れずに)
結論、ユーカリが丘スカイプラザ・ミライアタワーが売りに出ないのは、住む人が手放したくない理由がそろっているから。免震・県内初の長期優良住宅認定・駅近・生活利便の集積、そして”ちょっとしたステータス”という空気感。これらが重なって、411戸で在庫ゼロという状態が生まれています。
移住先を選ぶとき、つい「駅からの距離」や「築年数」で比べがちですが、本当に効いてくるのは“住んでいる人がなぜ手放さないのか”という視点だと思います。売りに出ない街には、出ないだけの理由がある。エリア選びの物差しとして、ぜひ覚えておいてください。
最後に、これは余談…と言いたいところですが、私の中では半分本気の話です。このミライアタワーの1階に入っている「菓心(かしん)」というケーキ屋さん、本当においしくて、私もよく通っています。まずはロールケーキを食べてみてほしい。舌触り、鼻に抜ける香り、スポンジのきめ細かさ、バターの風味、生クリーム——ここのケーキを食べに来て、ついでに街をぐるっと歩いて家探し、くらいの気持ちでも全然いいと思うんです。街の空気感は、実際に来て、こういう小さなお店に寄ってみて初めてわかるもの。ユーカリが丘が気になったら、まずは気軽に足を運んでみてください。
✍️ この記事を書いた人|ほげたろう
宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)保有。今は不動産テック企業でAIを使った不動産価格の査定システムを開発。「家を売るとき・買うときの情報格差をなくす」がミッション。飛び込み営業時代や不動産投資の失敗も含めたリアルな体験と、日々データと格闘するエンジニア目線の両方から「不動産ゼロからナビ」を運営。4人家族、地方在住。「難しそう」を「なんとかなる」に変える情報を発信中。