マンションを買おうかな、売ろうかなと考えて、ふと不動産のAI査定サービスを使ってみたことはありませんか?住所と築年数と面積を入れたら、ものの数秒で「あなたのマンションは○○○○万円です」って数字が出てくる、あれです。

あれを使ってみて、「これってどういう根拠で価格を出してるんだろう?」「思ったより高く出たけど信じていいの?」「逆に思ったより低く出たけど、これは正しいの?」と疑問に思った人、けっこう多いはずです。

結論から言います。AI査定の仕組みを知った上で参考にすれば、めちゃくちゃ便利なツールです。ただし、その数字を「絶対の相場」と信じきって価格判断すると、数百万円単位で損をすることもあります。大事なのは、AI査定がどういうロジックで価格を出していて、どこが得意でどこが苦手なのかを理解すること。それさえわかれば、購入時も売却時もAI査定を強力な武器にできます。

私は宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)を持ち、今は不動産テック企業でAIを使った不動産価格の査定システムを開発しています。「家を売るとき・買うときの情報格差をなくす」がミッション。AI査定の中身を毎日ロジックレベルで触っているエンジニア目線と、飛び込み営業時代に成約事例を山ほど見てきた現場目線、その両方からこの記事を書きました。

この記事を読み終わると、AI査定がどんな仕組みで動いているか、どこが得意でどこが苦手か、そしてどう使えば自分の物件選びや売却に役立つかがはっきりわかります。AI査定との正しい距離感を掴んで、自分の頭で価格を判断できるようになってもらえたら嬉しいです。

📋 目次

そもそもAI査定って、どうやって価格を出してるの?

結論、マンションのAI査定については、ほぼすべてのサービスが「取引事例比較法」(とりひきじれいひかくほう)というシンプルなロジックで価格を出していると思って大きな間違いはありません。

これは不動産鑑定の世界で正式に認められている代表的な3つの手法のうちのひとつ。私が勤めている不動産テック企業でもマンションの査定はこの手法をベースにしています。マンションは「同じ建物の中の別の部屋」「近くの似た条件のマンション」と比較しやすく、変数も整理しやすいので、取引事例比較法と相性がいいんです。

一方で、戸建てや土地のAI査定は話が別。戸建ては原価法(土地の価格と建物の再調達原価から査定する手法)を採用しているサービスもありますし、土地に至っては個別性が強すぎて、サービスごとに査定アプローチがバラバラ。なんなら「土地の正確な査定はAIには無理」とハナから割り切っている業者もいます。ここはサービスごとの工夫が出る領域なので、一律に「こう動いている」とは言えないのが現状です

というわけで、この記事の前半はマンションのAI査定に絞って解説していきます。土地・戸建ての話は記事の後半でまとめて取り上げます。

取引事例比較法って、要するに何をやってるの?

かなりざっくり説明すると、こういうことです。

① 査定したいマンションと「似ている物件」をデータベースから探してくる

② その似ている物件の価格をベースに、違いを補正して価格を出す

たとえば「都内某駅徒歩5分・築15年・3LDK・75㎡」のマンションを査定するなら、「同じマンションの別の部屋」「無理なら近くの似たマンション(築年数、階数、㎡数、所在階が近いもの)」を比較対象として探してきます。そして、ちょっと違う部分(築年数が2年新しい、所在階が3階高い、など)を補正係数で調整して、対象マンションの価格を計算する。

マンションの場合、おもに使われる比較変数はこんな感じです。

  • マンションの総階数
  • 築年数
  • 専有面積(㎡数)
  • 所在階
  • 駅からの距離
  • 方角・眺望

「似ている物件を見つけて、違いを補正する」——本質はこれだけです。けっこう単純なロジックなんですよね。だから、住所と築年数と面積くらいの最小限の情報でも、それっぽい数字が瞬時に出てくるわけです。

じゃあAI査定ってめっちゃ正確じゃん、と思いきや…

ところが、ここで知っておきたい大事なポイントがあります。AI査定が比較に使っているデータが、必ずしも「実際に成約した価格」を映しているとは限らないのです。

これが次の話につながります。

知っておきたい大事なポイント|「売出事例」と「成約事例」は別物

結論、多くのAI査定サービスが使っているのは「売出事例」であって、不動産鑑定の本来の手順では「成約事例」を使うことが望ましいとされています。ここを理解しておくと、AI査定の数字を見るときの解像度がグッと上がります。

「売出事例」と「成約事例」、何が違うの?

2つの違いは、ひとことで言うとこれ。

種類意味特徴
売出事例売主が「この値段で売りたい」と提示している価格強気の価格設定が多い/値下げされたり、結局売れずに引っ込めた事例も含まれる
成約事例実際に売買契約が成立した「本物の取引価格」市場が認めた本当の相場/査定の本来のベースはこれ

「車を5,000万円で売り出している人」と「実際に5,000万円で売れた人」の違い、と言えばわかりやすいでしょうか。前者は希望価格にすぎないので、参考にはなっても根拠にはならない。後者こそが、本当の市場価格です。

とくに今のマンション市場のように、売主が強気で価格を釣り上げているフェーズでは、売出事例ベースのAI査定は実勢成約価格より高めに出やすい傾向があります。この特性を知った上で参考にする分には問題ありませんが、AIの数字をそのまま売り出し価格や購入予算の根拠にしてしまうと、実際の市場との乖離が出てくることがあります。

なぜAI査定は「売出事例」を使うことが多いのか

理由はシンプルで、成約事例は不動産会社じゃないとアクセスできない仕組みになっているからです。

不動産の成約事例は「レインズ(REINS)」という不動産流通機構のシステムに登録されています。レインズは、国土交通大臣の指定を受けた公益社団法人が運営する、宅地建物取引業者(不動産会社)専用のネットワークで、宅建業者しかログインして閲覧することができません。

これは個人情報保護のためでもあり、宅建業法第45条の守秘義務がレインズの成約情報には課されているからです。一方で、宅建業法第34条の2第2項で「査定金額の根拠を明示する義務」が定められているため、不動産会社は依頼者に査定根拠を説明する目的でならレインズの成約事例を活用できる、という建てつけになっています。

つまり、不動産会社じゃない一般の事業者(不動産テック系のスタートアップなど)は、原則として成約事例にアクセスできません。だから、SUUMOやアットホームなどの公開ポータルサイトに出ている「売出事例」をかき集めてAI査定に使う、というケースが多くなる。これがAI査定のリアルな実態です。

⚠️ 補足:不動産会社が運営しているAI査定サービス(三井のリハウス、野村不動産ソリューションズ、住友不動産販売など)は、自社で持っているレインズの成約事例を内部的に使えるので、相対的に精度が高い傾向があります。一方、独立系の不動産テック企業のAI査定は、売出事例ベースになっていることが多いです。

一般の人でも成約事例を見られるサイトはある

「じゃあ自分では成約事例を見られないの?」と思うかもしれませんが、ご安心ください。一般の人でも見られる成約事例のサイトはあります

代表的なのは次の2つ。どちらも無料です。

とくに不動産情報ライブラリは、国が公的に運営しているサイトなので信頼性が高い。AI査定の数字に違和感があったら、まずここで実際の成約価格を自分の目で確かめる、という使い方をオススメします。

マンションのAI査定が外しやすい3つのパターン

結論、AI査定は「データが豊富で、似た物件が見つかりやすいエリア」では当たりやすく、「データが少ない・物件のばらつきが大きいエリア」では外しやすいです。

具体的に、AI査定の数字を疑ったほうがいい3つのパターンを紹介します。

パターン①:取引件数が少ないエリア

都心・主要都市の駅近マンションのように毎月たくさんの取引があるエリアは、AI査定はけっこう精度よく当ててきます。比較事例がいくらでもあるので、似た物件をピンポイントで探せるからです。

逆に、地方や郊外の取引件数が少ないエリアでは、AI査定はかなり外します。比較対象の母数が少ないので、似ていない物件を強引に補正して使ったり、エリアを広げて遠くの物件と比較したりして、結果として実勢価格からズレた数字が出てくる。

たとえば千葉のユーカリが丘のように、街づくり企業(山万)が分譲した大型マンションと、それ以外のデベロッパーのマンションが混在しているエリアだと、ブランドや街全体のメンテナンス品質が価格に反映されているのに、AIはそこを変数として持っていないことが多い。結果、近隣の似た築年数の物件と雑に比較してしまい、価格が下振れしたりします。

パターン②:駅徒歩や立地条件にばらつきが大きいエリア

同じ「○○駅エリア」でも、駅徒歩1分のタワーマンションと、駅徒歩15分の旧分譲マンションでは、坪単価がまったく違います。

AI査定では「駅徒歩◯分」という補正係数が入っているのですが、この補正係数がエリア特性をきちんと拾えていないと、ズレた価格が出る。駅近物件をAI査定したのに、徒歩遠めの物件たちと混ぜて補正された結果、相場より低い数字が出る、というパターンは珍しくありません。

パターン③:マンションの個性が強い物件

免震構造のタワーマンション、ヴィンテージマンション、デザイナーズマンション、共用施設が異常に充実しているマンション(温泉、フィットネス、ゲストルームなど)。こういう「個性が強い」物件は、周辺の似たマンションと比較しようとすると、AI査定が苦手とするタイプになりがちです。

なぜなら、AI査定の比較変数(築年数、面積、所在階など)にこうした個性は含まれていないから。免震構造や共用施設の充実度を、AIは「他のマンションと同じただの中古マンション」として扱ってしまい、実勢価格より安く査定する傾向があります。

💡 ただし例外あり:個性が強い物件であっても、同じ棟内で過去の取引事例が豊富にあるマンションであれば、AI査定の精度は一気に上がります。タワーマンションや大規模マンションのように戸数が多く、棟内で売買が頻繁に行われている物件は、AIが「同じマンションの別の部屋」を比較対象として使えるので、周辺から浮いている個性的な物件でもかなり正確な数字が出ます。逆に、戸数が少なくて棟内の取引履歴が乏しい個性派マンションは、AI査定のズレが大きくなる、と覚えておいてください。

💡 ここがポイント:AI査定の数字を見るときは、「どんな比較事例を使ってこの価格になっているのか」がわからないと、その数字をどこまで参考にしていいか判断できません。だから、複数のサービスを使って数字のレンジ(幅)を見るのが基本です。同じマンションを5社のAI査定にかけたら、500万円〜1,000万円ぐらい平気で差が出ることもあります。

それでもAI査定を使うべき2つのシーン

ここまでAI査定の弱点を散々書いてきましたが、AI査定は使い方さえ間違えなければ、めちゃくちゃ便利なツールです。

私自身も、物件を見るときに毎回使っています。具体的に、AI査定が活躍する2つのシーンを紹介します。

シーン①:購入前の「相場感づくり」

これがいちばんオススメの使い方。マンションを買う前に、自分の中に「このエリアのマンションはだいたいいくら」という相場感をつくるために使います。

たとえば「○○駅 中古マンション 3LDK 75㎡」で複数のAI査定や売出事例を見ていくと、だいたい「3,500万円〜4,500万円のレンジに収まりそうだな」という感覚が身につく。そうすると、いざ気になる物件が出てきたときに、「これはレンジの上振れだから割高」「これはレンジの下振れだから掘り出し物かも」という判断が自分でできるようになります。

不動産会社の営業マンに「いやー、これは安い物件ですよ!」と言われても、自分の中に基準がないと判断できません。AI査定はその基準づくりの強力な武器になります。

シーン②:売却前の「ざっくり見積もり」

マンションを売却するか迷っている段階で、「今売ったらだいたいいくらになりそうか」を知りたいときも、AI査定は便利です。

本格的な売却査定を不動産会社に依頼する前に、自分でAI査定を3〜5社使ってみる。すると、おおよその売却可能価格のレンジが見えてくる。このレンジを頭に入れておくと、不動産会社の査定価格が「妥当か」「異常に高い・低いか」を判断する材料になります

とくに注意してほしいのが、売却査定では「異常に高い金額」を出してくる会社に気をつけること。媒介契約をとりたいがために、相場よりはるかに高い査定額を提示して、契約後にじわじわ値下げを要求してくる、という手口が古くから業界にあります。AI査定で得た自分の相場感は、この手口の防波堤になります。

⚠️ 注意:AI査定はあくまで参考。最終的には必ず複数の不動産会社に査定を依頼して、成約事例ベースで根拠を聞いてください。AI査定の数字だけで売り出し価格を決めるのは絶対にやめましょう。

AI査定を使うときのチェックポイント

  • 必ず3社以上のAI査定を比較する(1社だけだと精度がわからない)
  • 各社の数字のレンジ(最高〜最低)を把握する
  • 最高値も最低値も「外れ値」として警戒し、中央値あたりを基準に考える
  • レインズ・マーケット・インフォメーションや不動産情報ライブラリで、自分の目で成約事例を確認する
  • 最終判断は必ず不動産会社の査定(成約事例ベース)と組み合わせる

本気で査定するなら|成約事例を出してくれる会社を選ぶ

結論、本気でマンションを売却したいなら、最終的には成約事例ベースで査定してくれる不動産会社に依頼するのが鉄則です。

「AI査定だけで売り出し価格を決めて、結果として数百万円の損をする」というのが、私が業界でいちばん見てきたパターン。これを避けるためには、成約事例の根拠をしっかり出してくれる会社を選ぶ必要があります。

査定を依頼するときに必ず聞くこと

査定を依頼するとき、相手が大手だろうと地元の会社だろうと、私は必ずこの2つを聞きます。

① 「この査定価格の根拠を教えてください。どの成約事例を比較対象に使いましたか?」

② 「成約事例の具体的な築年数・㎡数・成約年月日・成約価格を見せてもらえますか?」

ちゃんとやっている会社なら、レインズの成約事例を3〜5件くらい一覧にして見せてくれます。先ほども書きましたが、宅建業法第34条の2第2項で査定価格の根拠を明示する義務が不動産会社にはあるので、これは正当な要求です。

逆に、「弊社の独自データで…」「企業秘密ですので…」などと濁す会社は、その時点でちょっと警戒したほうがいい。

個人的にオススメしている会社

ここからは私の個人的な意見です。媒介契約をとっているわけでも紹介料をもらっているわけでもないので、純粋な紹介として書きます。

成約事例ベースの査定をしっかりやってくれる会社として、私が知っている範囲でおすすめしているのは次の2社です。

会社名特徴サイト
野村不動産ソリューションズ(ノムコム)マンション・土地・戸建てに加えて、区分収益・一棟収益まで幅広くカバー。査定根拠が比較的明瞭な印象。nomura-solutions.co.jp
長谷工リアルエステートマンション仲介に特化。長谷工コーポレーションが施工した物件のデータが豊富。査定の説明が丁寧。haseko-chukai.com

とくに野村不動産ソリューションズはオススメ

2社のうち、査定価格にしっかり納得したい人にとくに強くオススメしたいのが野村不動産ソリューションズ(ノムコム)です。

理由は3つ。まず、マンションデータベース「マンションデータPlus」をはじめ、社内に蓄積されたデータが豊富なこと。次に、マンションだけでなく、土地・戸建て・区分収益マンション(投資用マンション)・一棟アパートや一棟マンションといった収益物件まで、幅広い種別に強いことです。普通の仲介会社だと「マンションは強いけど戸建ては弱い」「収益物件はそもそも扱わない」という得意・不得意があるんですが、ノムコムはそのカバー範囲がとにかく広い。

そして3つ目が、私が個人的にいちばん評価しているポイント。査定価格の根拠が比較的明瞭で、なぜこの価格になるのかをきちんと説明してくれる印象があることです。複数の不動産会社に査定を依頼すると、「ふわっとした金額だけ提示してくる会社」と「成約事例や算定ロジックを丁寧に開示してくれる会社」がはっきり分かれるのですが、ノムコムは後者の傾向が強い。

とくに自宅以外の物件(投資用マンションや収益アパートなど)を査定したい人は、取扱い種別の幅広さと根拠の明瞭さの両方を備えている会社は意外と少ないので、ノムコムは候補に入れておく価値があります。

もちろん他にも良い会社はたくさんあります。三井のリハウス、住友不動産販売、東急リバブル、地元の優良な仲介会社など、複数社に査定を依頼して、「成約事例を見せてくれるか」「価格の根拠を説明してくれるか」を基準に比較するのがいちばん確実です。

土地・戸建てのAI査定は要注意|マンションとは話が違う

ここまではマンションの話でしたが、土地と戸建てのAI査定については、まったく別の話として捉えてほしいです。結論、土地と戸建てのAI査定は、マンションよりも参考程度の扱いに留めておくのが安全。これは私が業界の中でかなり強く主張していることです。

土地・戸建てはマンションよりはるかに「個別性」が強い

マンションは、同じ建物の中の別の部屋なら条件がかなり似ています。だから比較事例選びがやりやすい。築年数も㎡数も方角も、データとして整理しやすい。

でも、土地と戸建ては隣同士でも全然違う。価格を決めるために必要な情報が、マンションよりはるかに多いんです。

  • 道路の幅員(前面道路が4mか6mか8mか)
  • 道路の種別(公道か私道か、私道なら持分の有無)
  • 接道の長さ(間口が2mギリギリか、5mあるか)
  • 地型(整形地か旗竿地か、台形か三角形か)
  • 隣地や道路との高低差(擁壁の有無、ガケ条例の対象か)
  • 用途地域・建ぺい率・容積率
  • 戸建ての場合は構造(木造か鉄骨か)、築年数、リフォーム履歴

これだけの変数が価格に効いてくるんですが、多くのAI査定は住所と面積くらいしか聞いてきません。それで土地や戸建ての価格がポンと出てくる。これはハッキリ言って、信用できない数字です。

こんなAI査定は疑ってください

もし土地や戸建てのAI査定で、入力項目が「住所」と「築年数」「面積」くらいしかないのに価格が出てくるとしたら、そのAI査定は疑ってかかってください。

土地・戸建ての査定をちゃんとやろうとすると、上に挙げた変数を入力させない限り、まともな価格は出せないからです。それを聞かずに数字を出してくるサービスは、「ざっくりこのへん」というあてずっぽうに近い数字を出していると思ったほうがいい。

⚠️ 実例:AI査定で「3,000万円」と出た物件が、現地調査の結果、再建築不可(建て替えができない土地)で実際の取引価格は1,500万円だった、というケースは普通にあります。逆に、AIが安く見積もった物件が、好条件の角地で実際は4,000万円で成約することもある。土地と戸建ては、本当に個別性が強いんです。

土地・戸建てを売買するときの正しい順序

結論、土地と戸建てに関しては、AI査定は「ざっくり感を掴む程度の参考値」と割り切って、価格判断は不動産会社の現地調査ベースの査定に頼るべきです。

  1. まずAI査定で大まかな相場感だけ掴む(複数サービスを使う)
  2. 不動産会社に査定を依頼する(必ず複数社)
  3. 担当者に道路条件・地型・高低差などを細かく現地確認してもらう
  4. 成約事例を見せてもらいながら、根拠を確認する
  5. AI査定と現地調査ベースの査定がズレている場合、なぜズレているのかを担当者に聞く

「AI査定で○○万円って出ました」という情報は、土地・戸建てに関してはあくまで会話のきっかけくらいに留めて、実際の判断は現地を見た担当者の声を重視してください。

ここまで読んで、「不動産って、けっこう奥が深いんだな…」と思った人もいるかもしれません。

正直、自宅購入は不動産投資と同じゲームです。数百万〜数千万円の判断を、知識ゼロで進めると、AI査定の数字に振り回されたり、不動産会社の言い値で買ってしまったりして、あとで取り返しのつかない損失になることがある。「マイホームだから儲け話とは別」と考えるのは、いちばん危険な発想です。

私自身、20年以上前にファイナンシャルアカデミーの不動産投資スクールを受講して、その後13件の不動産取引(自宅購入2件を含む)をしてきましたが、おかげさまで一度も損をしていません。学んだ知識は、自宅選びでもそのまま活きました。

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まとめ|AI査定との正しい距離感

長くなったので、最後にこの記事のポイントをまとめます。

シーンAI査定の使い方
マンションの相場感づくり👍 積極的に使う。3社以上で比較してレンジを把握
マンションの売却前見積もり👍 参考値として使う。本査定は不動産会社で
マンションの売り出し価格決定❌ AIだけで決めない。成約事例ベースの本査定が必須
土地・戸建ての査定⚠️ 参考値程度に。最終判断は必ず現地調査ベースの不動産会社の査定で

マンションを買う・売る人にいちばん伝えたいのは、「AI査定の仕組みを知った上で、自分でも成約事例を確認する習慣をつけて、AIを賢く活用する」ということ。

レインズ・マーケット・インフォメーションや不動産情報ライブラリは無料で誰でも使えます。1時間ぐらい操作してみるだけで、自分が興味を持っているエリアのマンション相場がぐっとリアルに見えてくるはずです。

とくに今のマンション市場は、売出事例が強気に釣り上がっている傾向があります。AI査定が売出事例ベースで動いている以上、AIの数字も上振れしやすい。だからこそ、成約事例で答え合わせをする習慣を持っておいてください。

購入するときも売却するときも、価格の判断はあなたの人生を大きく左右します。AI査定は本当に便利なツールなので、ぜひ仕組みを理解した上でガンガン活用してください。AIの数字をきっかけに、自分の目で成約事例を確認したり、不動産会社に深い質問ができるようになれば、それだけで取引の精度はグッと上がります。

※ 注意事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の不動産取引に関する法的・税務的アドバイスではありません。実際の取引にあたっては、宅地建物取引士・税理士・不動産鑑定士などの専門家にご相談ください。記事内のサービス内容や制度は執筆時点のものであり、今後変更される可能性があります。

📎 参考・出典

✍️ この記事を書いた人|ほげたろう

宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)保有。今は不動産テック企業でAIを使った不動産価格の査定システムを開発。「家を売るとき・買うときの情報格差をなくす」がミッション。飛び込み営業時代や不動産投資の失敗も含めたリアルな体験と、日々データと格闘するエンジニア目線の両方から「不動産ゼロからナビ」を運営。4人家族、地方在住。「難しそう」を「なんとかなる」に変える情報を発信中。

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