【2026年版】「金利のある世界」をやさしく解説|新NISA勢が今こそ知るべき家計の話
「金利が上がるって毎日ニュースで言ってるけど、結局わたしの家計や投資にはどう関係するの?」——ここがはっきりしないまま新NISAの積み立てを続けている人は、少なくないと思います。
先に結論を言うと、最近みずほのシンクタンクが出した「金利のある世界」シミュレーションのポイントは、たった2つに集約できます。①金利が上がると“家計全体では”プラス。でも全員じゃなく、損する人もいる。②お金の置き場所(預金か投資か)が、今まさに変わりつつある。この2つだけ押さえれば十分です。
わたし自身、FP1級を持っていて、新NISAで高配当株を中心に10年以上運用してきました。途中で含み損が300万円を超えて「売るべきか持ち続けるか」で眠れない夜もありました。だからこそ、数字の羅列で煙に巻くんじゃなく、「で、自分はどうすればいいの?」に答える形で噛み砕きたいと思っています。
この記事を読み終えるころには、金利上昇のニュースを「他人ごと」じゃなく「自分ごと」として整理できて、慌てて動かずに済むはずです。難しい話は全部こちらで翻訳するので、肩の力を抜いて読んでください。
📅 本記事のデータは 2026年6月時点 のものです。金利・統計は随時更新されるため、最新値は各公式サイト(記事末の「参考・出典」)をご確認ください。
そもそも「金利のある世界」ってどういうこと?
ひとことで言うと、「日本にも、ふつうに金利がある時代がやっと戻ってきた」ということです。
日本はこの20年以上、金利がほぼゼロの世界でした。銀行にお金を預けても利息はほとんどつかず、住宅ローンも超低金利。それが当たり前すぎて、わたしたちは「金利」というものをほとんど意識せずに生きてきました。
ところが日本銀行(日銀)は金融政策の正常化を進めていて、いまの政策金利は0.75%まで上がってきました(2026年4月の会合では据え置き)。長期金利(10年国債利回り)は2026年5月末時点で2.5%を超え、1997年以来の高い水準です。市場では2026年6月にもさらなる利上げがあるのでは、という見方が多くなっています。
そして今回のみずほのレポートは、ここからさらに金利が上がっていく未来を試算しています。あくまで「予測」なので断定はできませんが、その想定を表にすると、わたしたちの生活に直結する金利がこう動くと見込んでいます。
| 金利の種類 | 2025年度 (実績) | 2028年度 (みずほ想定) |
|---|---|---|
| 政策金利(年度末) | 0.75% | 1.5% |
| 長期金利(10年国債) | 1.8% | 3.0% |
| 普通預金金利 | 0.2% | 0.6% |
| 定期預金金利(10年) | 0.8% | 1.7% |
| 住宅ローン(変動) | 0.6% | 1.7% |
| 住宅ローン(固定) | 2.0% | 3.2% |
※2028年度の数値は、みずほリサーチ&テクノロジーズによる「年度平均値」ベースの想定(試算値)であり、確定した将来を示すものではありません。長期金利は年度平均。住宅ローン変動は主要都市銀行の優遇後、固定はフラット35最低値ベース。(出所:みずほリサーチ&テクノロジーズ「本格化する『金利のある世界』と日本経済」2026年5月14日)
ポイントは、預金にもローンにも、両方に金利が効いてくるということ。預金は「置いておくだけで少し増える」方向に戻り、一方で住宅ローンを借りている人は返済負担が増える方向に動きます。この「光と影」が、次の話につながります。
金利が上がると、家計は得するの?損するの?
多くの人がいちばん気になるのはここですよね。結論から言います。
みずほの試算では、政策金利が今後1.5%まで上がると、日本の家計全体で年間プラス6.3兆円の効果が生まれるとされています。つまり“国全体でならす”と、金利上昇は家計にとってプラスなんです。
「え、ローンの利息が増えるのに、なんでプラスなの?」と思いますよね。理由はシンプルで、日本の家計はローン(負債)よりも、預金や株式(資産)のほうがずっと多いからです。みずほの集計では、家計の金融資産は約2,350兆円あるのに対し、負債は約400兆円。資産のほうが圧倒的に多いので、金利が上がると「利息で受け取る分」のほうが「ローンで払う分」を上回る、という構造になっています。
内訳を見ると、もっとイメージしやすくなります。
※2025年度(政策金利・年度平均0.6%)と2028年度(同1.5%)を比較した年間の試算値。出所:みずほリサーチ&テクノロジーズ(総務省「家計調査」、内閣府「国民経済計算」、日本銀行「資金循環統計」をもとに作成)
利息で増える分(+5.8兆円)と配当で増える分(+2.9兆円)を足すと、ローン利払いの増加(−2.4兆円)を大きく上回る。だから差し引きでプラス6.3兆円、というわけです。預金金利が地味でも、家計全体では金額が大きいので効いてくるんですね。
身近な数字に落とすと、こんなイメージです。
※利息は「元本×金利」で計算した概算(税引前)。実際は約20%の税金が引かれます。金利は記事冒頭の想定値(みずほ試算)を使用しており、将来を保証するものではありません。
「年4,000円かよ」と感じるかもしれませんが、これが定期預金や、まとまった資産になればインパクトはもっと大きくなります。少なくとも、「預金は置いておくだけ無意味」という時代から、「置き場所で差がつく」時代に変わりつつあるのは確かです。
ここが落とし穴。「全員プラス」じゃないんです
ここはこのレポートでいちばん大事なところで、わたしが「これは知っておいてほしい」と思った部分です。
さっきの「家計全体でプラス6.3兆円」はあくまで“日本全体をならした平均”。実際には、住宅ローンを抱えている世帯、とくに若年層や中・低所得層は、差し引きでマイナスになるとみずほは試算しています。
ローンを払い終え、預金や株式をしっかり持っている世帯。利子・配当の増加が効いて、影響はプラスに。
住宅ローンの残債が多く、資産はこれから。利払い増が利子・配当増を上回り、20〜30代は1世帯あたり年▲18万円前後の試算。
※負債を保有する二人以上世帯を対象にした試算(2025年度と2028年度の比較)。出所:みずほリサーチ&テクノロジーズ(総務省・内閣府・日本銀行データをもとに作成)
つまり、「金利上昇は家計にプラス」というニュースの見出しだけ見て安心していると、住宅ローンを組んだばかりの共働き世帯などは、実は逆風を受けている可能性がある、ということ。平均の裏にある“ばらつき”を見ないと、自分の立ち位置を見誤ります。
住宅ローンがある人は、ここを具体的に
みずほは、4,000万円を35年返済で借りたケースもシミュレーションしています。具体的な数字なので紹介します。
※借入4,000万円・返済期間35年での試算値。変動型は「5年ルール・125%ルール」を考慮。出所:みずほリサーチ&テクノロジーズ。実際の返済額は借入条件・金融機関により異なります。
ちなみに、知らない人が意外と多いのが「5年ルール」。変動金利型の住宅ローンは、金利が上がっても毎月の返済額が5年間は変わらない仕組みになっていることが多いんです。「金利が上がったのに返済額が変わらないからセーフ」と思いがちですが、実は返済の中身(利息の割合)が増えていて、元本がなかなか減っていない——というのが落とし穴。返済額が変わらない=負担が増えていない、ではないので要注意です。
お金の置き場所が変わる。「貯蓄から投資へ」が本格化
ここからが、新NISAをやっている人にとって本題かもしれません。金利のある世界では、わたしたちの「お金の置き場所」そのものが大きく動いている、というのがレポートのもう一つの柱です。
背景には、長く続いた「とりあえず預金」から、収益性(増えるかどうか)を重視する流れへの変化があります。実際、新NISAの広がりは数字に表れていて、NISAの累計買付額は2025年6月末時点で約63兆円(金融庁)。2024年の新NISA開始を境に、大きく伸びています。みずほのレポートでは、この勢いが続いて2025年末には累計71兆円規模に達したと見ています。
その結果、家計のお金に占める「リスク資産(株式・投資信託)」の割合がじわじわ上がっています。そしてみずほは、この流れが今後も続くと試算しています。
※リスク資産比率=金融資産全体に占める株式・投資信託の割合。2024年は実績、2030年は評価額変動を除いた想定値(みずほ試算)。出所:日本銀行「資金循環統計」、総務省「家計調査」をもとにみずほリサーチ&テクノロジーズ作成
もっと大きな絵で見ると、家計全体のお金はこう変わると試算されています。2030年に家計金融資産は約2,600兆円まで増え、その増える分の大半が株式・投資信託になる、という見立てです。
※2024年末〜2030年の変化幅の試算値(株式・投信は評価額変動を含む)。出所:内閣府「国民経済計算」、日本銀行「資金循環統計」をもとにみずほリサーチ&テクノロジーズ作成
注目したいのは、現金・普通預金が「減る」と試算されていること。これは「日本人がお金を使ってしまう」という意味ではなく、後で説明する「普通預金から定期預金へ」「預金から投資へ」というお金の引っ越しが進む、という意味です。みんなが少しずつ、お金の置き場所を見直し始めている——その大きなうねりの中に、いまわたしたちはいるわけです。
「若い=投資に消極的」とは限らない
もう一つ面白いのが、年齢と投資の関係。ふつう「若い人はお金がないから投資もしない」と思いがちですよね。でもレポートによると、20代は所得が低めの世帯でもリスク資産の比率が高い傾向があるそうです。運用できる期間が長く、長期投資の利点(複利)を得やすいこと、そして新NISAの後押しが効いた格好です。逆に40〜60代は、中・高所得でもリスク資産比率が低めにとどまる傾向があるとのこと。年齢のイメージだけで「自分はこのくらいでいい」と決めつけない方がよさそうです。
預金の中でも“静かな移動”が始まっている
「投資はまだちょっと怖い」という人にも関係する話を一つ。実は預金の中身でも、お金の引っ越しが始まっています。具体的には、いつでも引き出せる普通預金から、一定期間預ける定期預金へ、お金が移り始めているんです。
理由は単純で、金利差。みずほによると、定期預金と普通預金の金利差は2026年2月時点で0.4%ポイントまで広がり、これは1998年以来の水準だそうです。マイナス金利時代はずっと残高が減っていた定期預金が、足元では増加に転じている。長らく「定期にする意味なくない?」と言われ続けてきた定期預金が、静かに復活しているわけですね。
これ、地味ですが大きな変化です。「すぐ使わないお金は定期に入れておくと、ほんの少しだけど多くもらえる」という、昔は当たり前だった選択肢が戻ってきている。投資に踏み出す前の“安全な置き場所”としても、選択肢が増えているということです。
じゃあ、投資初心者は何を考えればいい?
ここまでの話、難しく感じたかもしれませんが、初心者が今すぐ慌てて何かする必要はありません。むしろ大事なのは「金利のある世界では前提が変わる」と頭の片隅に置いておくこと。わたしが整理した、焦らず押さえておきたい視点をチェックリストにまとめました。
- 「全体プラス」を自分に当てはめない。住宅ローンがある人、これから組む人は、自分が“マイナス側”かもしれないと意識する。
- すぐ使う予定のないお金は、預金の置き場所を見直す。普通預金一択だった時代から、定期預金も再び選択肢に。緊急用のお金まで投資に回さない。
- 金利上昇は、株や投資信託の“前提”も変える。金利が上がると債券など他の選択肢の魅力も増すため、株価の評価は揺れやすくなることがある。だからこそ、短期で一喜一憂せず長期目線を保つ。
- FXの高金利通貨に興味がある人は要注意。日本の金利が上がると、日本と他国の金利差は縮まる方向。スワップポイント(金利差で毎日受け取れる利益)の前提が変わりうるので、「持っているだけで増える」と思い込まない。
- 住宅ローンがある人は、一度だけでも返済シミュレーションを。変動の「5年ルール」で実感が遅れるぶん、早めに金利上昇後の返済額を確認しておくと安心。
とくに4つ目のFXの話は、このブログを読んでくれている人に多い関心だと思うので補足します。高金利通貨のスワップ狙いは「日本の金利が低く、相手国の金利が高い」ことが前提でした。日本の金利が上がっていくと、その差(=もらえるスワップの源泉)は理屈のうえでは縮みやすくなります。もちろん相手国の金利や為替の動きしだいなので一概には言えませんが、「前提が変わりつつある」という感覚を持っておくだけで、判断の質はぐっと上がります。
わたし自身、含み損300万円超を抱えていた時期は、スワップをもらいながら評価額が沈んでいく感覚を経験しました。だからこそ伝えたいのは、利益の数字だけでなく「その利益がどんな前提で成り立っているか」を一度立ち止まって考えること。金利のある世界は、その前提を見直すいいタイミングです。
まとめ|お金の常識が変わるサイン
長くなったので、最後に要点をまとめます。今回のみずほのレポートから、わたしたちが受け取るべきメッセージはこの3つです。
① 金利上昇は家計全体ではプラス。でも住宅ローンを抱える若年・中低所得世帯はマイナスになりうる。
② 「貯蓄から投資へ」は本格化。リスク資産比率も預金の中身も、お金の置き場所が動いている。
③ 初心者は慌てなくていい。ただし「前提が変わった」という意識を持って、自分の立ち位置を確認しておく。
金利のある世界は、ちょっと怖いニュースに聞こえるかもしれません。でも見方を変えれば、預金にも利息がつき、お金の置き場所を自分で選べる、ある意味で“まっとうな”世界が戻ってきたとも言えます。
大事なのは、誰かの「絶対こうすべき」に振り回されず、自分の家計と向き合うこと。この記事が、その第一歩の整理に少しでも役立てばうれしいです。あなたのペースで進めていきましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。掲載データは執筆時点のものであり、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
FP1級保有。新NISAで高配当株ポートフォリオを運用中(運用歴10年)。保有銘柄数は現在20銘柄。過去には含み損が300万円を超えた経験もあり、「損切りすべきか持ち続けるか」の葛藤を何度も経験。その経験をもとに、初心者が本当につまずく場所を正直に解説することをモットーにしています。「根拠を持って選ぶ投資」を広めるためにブログを運営中。
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