「株が急落してる…これ、戦争のせい?」と感じているあなたへ
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランへの大規模軍事攻撃を開始。最高指導者ハメネイ師が死亡し、ホルムズ海峡が事実上封鎖される事態になりました。「戦争が起きると株はどうなる?」「原油や金はどこへ向かう?」と不安に感じている投資家は多いはずです。
結論から言うと、戦争が経済に与える影響には「パターン」があります。過去のアメリカが関与した戦争を振り返れば、株価・原油・金・債券がどう動いたかが見えてきます。歴史を知っておくだけで、今の混乱に少し落ち着いて向き合えるようになります。
ちなみに私はFP1級を持っていて、10年以上新NISAで高配当株ポートフォリオを運用してきました。含み損300万円超を経験した時期もあり、「有事に売るべきか、持ち続けるべきか」という問いと何度も向き合ってきました。その経験をもとに、今回のイラン情勢と歴史的な戦争の経済影響を正直に解説します。
戦争ってそもそも、どれくらいお金がかかるの?
「戦争はお金がかかる」とはよく言われますが、実際の数字を知っている人は意外と少ないんです。まずは「小さな視点」から。兵器1つひとつの価格を並べてみましょう。
🔫
小銃弾(5.56mm×45)
約50〜80円/発
米軍標準弾薬・1000発で数万円
🚀
トマホーク巡航ミサイル
約2〜3億円/発
米国防総省公表(2022年基準)
✈️
F-35A戦闘機(機体単価)
約80〜190億円/機
防衛省令和8年度予算案より
🛡️
B-2ステルス爆撃機
約2,400億円/機
米空軍調達価格(2010年代)
⚓
原子力空母(CVN-78)
約1.5兆円/隻
フォード級空母・米海軍調達価格
💣
GBU-57/B バンカーバスター
約4〜5億円/発
30,000ポンド地中貫通爆弾・今回のイラン攻撃で使用
💡 読者向けポイント:今回のイラン攻撃で使われたB-2爆撃機によるGBU-57/B(バンカーバスター)攻撃と、潜水艦発射のトマホーク数発だけで、数十億〜数百億円規模の弾薬コストが発生していると推定されます。これが毎日続くわけです。
⚡ 1日の戦費:感覚値で理解する
イラク戦争時の記録によれば、作戦費用は1日あたり約186百万ドル(当時)にのぼりました(米政策研究所調べ)。現在の物価に換算し、イラン規模の作戦と仮定すると、1日数百億円規模の軍事支出が毎日発生していることになります。国民1人あたりに換算すると、連日何千円もの「請求書」が積み上がっていく計算です。
アメリカが起こしてきた戦争のコスト、全部並べてみた
次は大きな視点で、アメリカが主導してきた主要な戦争コストを比較します。数字を見るだけで「戦争がいかに経済の重荷になるか」が伝わると思います。
📊 アメリカの主要戦争コスト比較(現在価値換算・概算)
※棒グラフは相対比較の概念図です。各値は複数の研究・報告書を参考にした推計値であり、退役軍人医療費等の長期コストを含む試算も存在します。出典:米議会調査局(CRS)、スティグリッツ&ビルムズ(2008)、ブラウン大学「戦争のコストプロジェクト」等
🔍 戦争コストの「内訳」ってどこにかかるの?
戦費は「兵器を買う費用」だけではありません。構造は大きく4層に分かれています。
🗺️ 第二次世界大戦(アメリカ単独・現在価値換算で約400〜620兆円)
| 兵器・装備の大量生産 |
戦車86,000両・航空機300,000機・艦船1,200隻以上を4年で生産。アメリカはGDPの40%を軍事に投入 |
| 兵士1,635万人の人件費・補給 |
給与・食料・被服・医療費。兵士1人あたりの現在換算コストは約1,000万円 |
| 同盟国への武器貸与(レンドリース) |
英国3.14兆円・ソ連1.13兆円・仏・中国等へ総額約500億ドル相当を無償提供(当時価格) |
| 退役軍人への長期給付 |
傷病手当・遺族年金は数十年にわたって継続。現在価値換算で1.4兆ドル超(学術研究より) |
出典:米議会調査局(CRS)、Wikipedia「第二次世界大戦」、レンドリース法Wikipedia
🏜️ 湾岸戦争(約10兆円 ※多国籍軍負担後の実質米負担は約5兆円)
| 43日間の空爆・地上戦 |
トマホーク等の精密誘導兵器を大量投入。総費用約610億ドル(実費) |
| 多国籍国の費用負担 |
サウジアラビア・クウェート・日本・ドイツが大半を負担。アメリカの実質負担は約半分程度 |
| 日本の負担額 |
日本は130億ドル(当時レートで約1.7兆円)を拠出。しかしクウェートの感謝リストに名前がなく「小切手外交」と批判された(出典:外務省・湾岸戦争Wikipedia) |
出典:湾岸戦争Wikipedia、甲南大学「湾岸戦争の経済的帰結」
💣 イラク戦争(約330兆円・スティグリッツ試算では約450兆円超)
| 開戦〜フセイン政権崩壊(2003) |
最初の1ヶ月だけで約100億ドル。精密誘導爆弾・トマホークを大量消費 |
| 泥沼化した占領・駐留コスト |
1日あたり約1.86億ドル(当時)のランニングコスト。ベトナム戦争を月額で上回る水準に |
| 復興支援・民主化工作 |
インフラ再建・民主政権樹立への支援。しかし大半が機能せず「どぶに捨てた」とも |
| 退役軍人の長期医療・補償 |
PTSDを含む傷病兵への補償が数十年続く。これを含めるとスティグリッツ試算で3兆ドル超 |
出典:スティグリッツ&ビルムズ『3兆ドルの戦争』(AFP, 2008)、防衛研究所紀要「軍事行動に関わる経費分析」
🏔️ アフガン戦争(約250兆円・ブラウン大学試算では約330兆円)
| 20年間の駐留・治安維持 |
最大14万人が駐留。山岳地帯でのゲリラ戦が続き、「終わりが見えない消耗戦」に |
| アフガン国軍の育成・装備 |
現地軍への訓練・装備供与に多額を投じたが、タリバン復権後にほぼ全て接収される |
| 民主化・復興支援 |
学校・病院建設等に巨費。しかし政権崩壊で大半が水泡に。「史上最も費用対効果の悪い戦争」 |
| 退役軍人への長期給付 |
アフガン・イラク両戦争合計で退役軍人給付だけで数兆ドル規模(ブラウン大学試算) |
出典:ブラウン大学「Costs of War Project」(東洋経済オンライン2022年引用)、東京新聞(2022年)
💡 「隠れた戦費」が総コストを膨らませる:直接の軍事費より、退役軍人への医療・年金給付が数十年にわたって積み上がる「遅延コスト」が実は巨大です。イラク戦争で戦った兵士1人あたりの現在換算コストは約4,000万円。第二次大戦の約1,000万円の4倍です。現代戦争ほど1人1人を守るコストが高くなっているからです。(出典:スティグリッツ&ビルムズ著書、AFP通信2008年)
「イラク戦争は3兆ドル超」という衝撃の試算:ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授とハーバード大学のビルムズ教授は、退役軍人の医療費・障害補償を含む真のコストが少なくとも3兆ドル(当時レートで約300兆円)にのぼると試算。これは「過去60年で第二次世界大戦に次ぐ高コスト」と指摘されています。(出典:The Three Trillion Dollar War, 2008)
| 戦争名 |
期間 |
直接軍事費(概算) |
長期コスト含む試算 |
| 第二次世界大戦 |
1941〜1945 |
約5兆ドル (2007年換算) |
— |
| ベトナム戦争 |
1965〜1973 |
約1.1〜1.5兆ドル (現在換算) |
— |
| 湾岸戦争 |
1991 |
約610億ドル (実費) |
多国籍軍負担で相殺 |
| アフガン戦争 |
2001〜2021 |
約8,000億ドル (議会承認分) |
2.26兆ドル超 (長期含む) |
| イラク戦争 |
2003〜2011 |
約1.6兆ドル (議会承認分) |
3兆ドル超 (スティグリッツ試算) |
イラン攻撃 (進行中) |
2026年2月〜 |
集計中・週次で膨張 |
経済的波及含め評価不能 |
※日本経済研究センター・AFP通信・スティグリッツ&ビルムズ著書・米議会予算局(CBO)等の公開情報をもとに編集部がまとめた概算値です。数値は研究者によって異なります。
湾岸戦争(1991年)──「短期決戦」が市場に与えたもの
投資家にとって湾岸戦争は「教科書的な有事の値動き」として語り継がれます。「戦争が終わると株は上がる」という法則が明確に確認された最初の事例がこれです。
1990年8月
イラクによるクウェート侵攻
原油価格が急騰(1バレル約20ドル→約40ドル)。NYダウは約10〜15%下落。不確実性プレミアムが市場を直撃。
1991年1月17日
多国籍軍による空爆開始(砂漠の嵐作戦)
開戦初日、NYダウは+5%の急騰。「不確実性の霧」が晴れ、開戦が「リスクの確定」として受け止められた。原油は逆に急落(需給懸念が後退)。
1991年2月28日
100時間で地上戦終結
わずか43日で停戦。米国株は約25%上昇し、翌年にかけてブルマーケットへ突入。この「有事後の株高」パターンが投資家の記憶に深く刻まれることになる。
💡 湾岸戦争の教訓:「開戦前夜が最大のリスク」
市場が最も嫌うのは「不確実性」です。湾岸戦争では、開戦前(侵攻〜開戦の5ヶ月間)の方が、開戦後より株価下落が大きかった。「何が起きるかわからない」という状態が一番怖い、ということです。同様のパターンはその後のイラク戦争でも繰り返されることになります。
9.11・アフガン戦争(2001年)──テロが株式市場を止めた日
2001年9月11日は、アメリカの株式市場が文字通り「停止した」日です。ニューヨーク証券取引所は6日間も閉鎖という異例の事態になりました。
2001年9月11日
同時多発テロ発生・NYSE閉鎖
ニューヨーク証券取引所が6日間停止(米国株式市場の歴史的な閉鎖)。テロという「想定外のリスク」は通常の「戦争」よりも市場への衝撃が大きかった。
2001年9月17日(再開)
NYダウが歴史的な下落
市場再開後1週間でNYダウが約14%下落。航空株・保険株が特に打撃を受けた。原油は一時的に上昇したが、景気後退懸念で反落。
2001年10月〜2002年
アフガン侵攻開始→市場は回復へ
「対テロ戦争」として軍事介入が始まると、市場は「不確実性の解消」として株価回復。ただし、その後の景気後退とITバブル崩壊が重なり、低迷が長期化。
アフガン戦争20年間のコストは248兆円超:退役軍人の医療・年金を含めた長期コストを加算すると、2.26兆ドル(約248兆円)超とする試算があります(日本経済研究センター、2021年の主任研究員山田剛氏の分析より)。20年かけてこれだけのコストを投じて撤退した結果、タリバンが政権を奪還。「費用対効果の最悪な戦争」として語り継がれています。
イラク戦争(2003年)──「開戦前後」の値動きが逆転する理由
湾岸戦争の教訓を踏まえ、多くの投資家は「開戦したら株は上がる」と期待していました。実際、その通りになりました。しかし、問題はその後でした。
2003年3月20日
イラク侵攻開始
NYダウは開戦後3週間で約10%上昇。「開戦後は上がる」パターンが再確認される。原油は一時急騰後に反落(短期決着予想)。
2003年4月〜2004年
「ミッション・アコンプリッシュ」後も泥沼化
ブッシュ大統領が「任務達成」を宣言するも、テロ・内戦が継続。占領コストが急膨張し始め、財政悪化懸念が台頭。
2007〜2008年
戦費膨張×サブプライム危機が複合
スティグリッツが試算した「3兆ドル」の戦費が財政悪化に寄与。リーマンショックと複合し、米国経済は深刻なダメージを受けた。
⚠️ 「開戦後は上がる」の罠
「開戦後は株が上がる」というのは短期的なパターンです。問題は戦争が長引くかどうか。湾岸戦争(43日)は短期決着で本当に上がりました。でもイラク戦争(約8年)は最初だけ上がって、その後の泥沼化で経済的ダメージが蓄積しました。今のイラン攻撃が「湾岸型」なのか「イラク型」なのか、そこが最大の焦点です。
ウクライナ戦争(2022年〜)──原油・小麦・ガスの連鎖ショック
ウクライナ戦争は「エネルギー・食料という生活インフラを直撃した戦争」として投資家の記憶に新しいはずです。地政学リスクが物価インフレと直結した最も身近な事例です。
2022年2月24日
ロシアによるウクライナ侵攻開始
原油が1バレル70ドル台から130ドル台に急騰。ガス価格はヨーロッパで歴史的高値。小麦も急騰。日経平均・NYダウともに急落。
2022年〜2023年
インフレ→利上げ→世界同時株安の連鎖
エネルギー高がインフレを加速。FRBが急速利上げ(0.25%→5.25%)。世界の株式市場が「利上げ・インフレ・景気後退」トリプルリスクに晒された。
2023〜2025年
長期化で「慣れ」が生じ、市場は回復
戦争継続中でも市場は徐々に持ち直し。「地政学リスクへの耐性」が市場に備わっていくプロセスが観察された。S&P500は2023〜2024年に過去最高値を更新。
日本への直撃:ウクライナ戦争は円安・エネルギー高の複合要因として日本経済を直撃しました。2022年のガソリン価格は全国平均で一時170〜180円台まで上昇。食品・光熱費の値上がりが家計を圧迫し、投資家にとっても「実質購買力の低下」という形で影響が出ました。
今起きているイラン攻撃──リアルタイムの市場への影響
LIVE 2026年3月16日時点の情報
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランへの大規模軍事攻撃「壮絶な怒り作戦(Operation Epic Fury)」を開始。最高指導者ハメネイ師が死亡し、ホルムズ海峡が事実上封鎖される事態になっています。
2025年6月13〜25日
「12日間戦争」──第一波
イスラエルがイランの核施設・軍事施設を空爆。米国も核施設へのバンカーバスター攻撃を実施。6月25日に一時停戦合意が成立。
2025年12月〜2026年1月
イランで大規模反体制デモ・経済崩壊
イラン通貨リアルが対ドルで半値近くに暴落。公式インフレ率42.5%。全国100都市以上でデモ。政府が大規模弾圧。
2026年2月28日
「壮絶な怒り作戦」──ハメネイ師死亡
米・イスラエルがテヘランを攻撃。ハメネイ最高指導者が死亡。ホルムズ海峡が事実上封鎖状態に。世界の原油供給の約20%が通過する「海峡」が機能不全に。
2026年3月13〜15日
カーグ島攻撃──石油輸出拠点への直撃
米国がイランの主要石油輸出拠点・カーグ島の軍事目標を攻撃。北海ブレント原油が117ドル超に。攻撃から2週間で原油価格が4割超上昇。
⚠️ 現在(2026年3月16日)の市場状況:
- 北海ブレント原油:117ドル超(攻撃前比+40%超)
- 金価格:5,000ドルを下回る水準(利下げ観測後退で調整局面)
- 日経平均:3月2日の寄付で前日比▲874円安など、下落圧力が継続
- 円相場:一時159円台後半へ円安進行(有事のドル買い)
- 「年内米利下げなし」論が浮上し、市場のセンチメント悪化
出典:Bloomberg(2026年3月15〜16日)、第一生命経済研究所(2026年3月9日)、野村證券市場戦略リサーチ(2026年3月1日)
🇯🇵 日本への具体的な影響:ホルムズ海峡封鎖の意味
日本はイランから原油を直接輸入していませんが、日本が輸入する原油の9割以上がホルムズ海峡を通過します。海峡が機能しなければ、中東産原油のほぼすべてが止まります。野村証券の試算では、原油価格の10%上昇(1年継続)でTOPIXの経常利益が約1〜1.25%押し下げられ、年間で2兆円超のドル買い・円売り需要が発生します。ガソリン代・電気代・食品代が一斉に上がる「インフレの連鎖」が懸念されているのです。(出典:野村証券市場戦略リサーチ部、2026年3月)
戦争で動く資産クラス別まとめ──株・金・原油・債券・ビットコイン
「有事のときに何を持てばいいのか」という問いへの、歴史的なパターンをまとめます。ただし、これは過去の傾向であり、将来を保証するものではありません。
🛢️
原油
↑ 上昇傾向
中東紛争では特に急騰しやすい。ただし短期決着なら急落も
🪖
防衛関連株
↑ 上昇傾向
軍需産業への需要増で上昇しやすい。エネルギー株も同様
💵
米ドル
↑ 有事の買い
「有事のドル買い」で上昇。円安に繋がりやすい
🥇
金(ゴールド)
↑↓ 複雑
原則上昇だが、利下げ観測後退で下落する局面も。今回は5000ドル割れ
📈
株式全般
↓ 短期は下落
開戦前後は下落。ただし終戦・短期決着なら急回復することも多い
✈️
航空・旅行株
↓ 下落しやすい
燃料費急騰・旅客減少のダブルパンチ
📜
国債(米国)
↑↓ 複雑
安全資産として買われる一方、インフレ懸念で金利上昇=価格下落の場合も
₿
ビットコイン
↑↓ 不安定
「デジタル金」としての期待もあるが、リスクオフで売られる場面も多い。歴史が浅く不確実
投資初心者への重要な補足:上記はあくまで過去の傾向です。「戦争なら原油を買えばいい」という単純な話ではありません。現在のイラン情勢では、金が5,000ドルを割り込むという「教科書通りではない動き」も起きています。これは原油高によるインフレ懸念で「利下げ期待が後退→金利上昇→金に不利」という連鎖が起きているからです。市場は常に複雑です。
戦争の「フェーズ」と資産の動きまとめ表
| フェーズ |
株式 |
原油 |
金 |
米ドル |
国債 |
| 緊張高まる前夜 |
↓ 下落 |
↑ 上昇 |
↑ 上昇 |
↑ 上昇 |
↑ 上昇(利回り低下) |
| 開戦直後 |
↑ 反発することが多い |
↑↓ ケースによる |
↑↓ 複雑 |
↑ 継続 |
↑↓ インフレ次第 |
| 短期終結 |
↑↑ 大幅上昇 |
↓ 急落 |
↓ 反落 |
↓ 反落 |
↓ 金利上昇 |
| 長期化・泥沼化 |
↓ 下落圧力継続 |
↑ 高止まり |
↑↓ インフレ次第 |
↑↓ 不安定 |
↑↓ インフレ次第 |
※過去の傾向を概念的に整理したものです。個別の投資判断の根拠にはなりません。
アメリカ株・日本株の「今」を振り返る
今のアメリカ株(S&P500・NYダウ)と日本株(日経平均)が、イラン攻撃後どのように動いているかを整理します。
📉 2026年2月28日〜3月16日の主な動き
| 指数・資産 |
攻撃開始前の状況 |
攻撃後1週間 |
2週間経過時点 |
| 日経平均 |
「直前まで絶好調」(第一生命研) |
▲874円(3/2寄付)など急落 |
1ヶ月ぶり安値水準。原油高への耐性の低さが露呈(出典:Bloomberg, 日経) |
| S&P500・NYダウ |
AI・ハイテク株主導で上昇基調 |
リスクオフで下落。AI銘柄にも調整売り |
「消えた楽観論」。紛争長期化・消費減速警戒が強まる(出典:日経2026/3/14) |
| 北海ブレント原油 |
約80ドル台 |
急騰 |
117ドル超(+40%超)。カーグ島攻撃で週明けさらなる上昇も(出典:Bloomberg 2026/3/15) |
| 金価格 |
5,000ドル超で推移 |
有事で上昇 |
5,000ドルを割り込む。利下げ観測後退で2週連続下落(出典:Bloomberg 2026/3/16) |
| ドル円 |
安定的な水準 |
円安進行 |
一時159円台後半。「有事のドル買い」継続(出典:時事ドットコム 2026/3/16) |
「遠くの戦争は買い」は今回通用せず:日本経済新聞(2026年3月14日)は「『遠くの戦争は買い』今回は通じず 原油100ドル超で株安加速」と報じています。これはホルムズ海峡という「日本の石油の生命線」が直接脅かされているためです。2025年の鉱物性燃料輸入総額は22.1兆円(財務省貿易統計)。この規模の輸入が不安定化することの影響は、日本にとって「遠い話」ではありません。
投資家が今できること──歴史から学ぶ3つの行動原則
「じゃあ今どうすればいいの?」という問いに、歴史的なパターンと現在の状況を踏まえてお答えします。ただし、投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
原則① 「不確実性の霧」の中では焦って動かない
過去の事例を見ると、戦争の「進行中」が最も読みにくい局面です。湾岸戦争の短期決着、イラク戦争の長期泥沼化、どちらになるかは開戦直後には誰にもわかりません。現在のトランプ大統領自身が「終わると直感したときにわかる」と述べているほど先行き不透明です(CNN, 2026年3月13日)。慌てて動くことで判断を誤るリスクの方が、じっとしているリスクより大きいことが歴史的には多いんです。
原則② 「積立」を止めないことが最強の戦略
新NISAで積み立て投資をしている方は、基本的にそのまま続けることが推奨されます。株価が下がれば同じ金額でより多く買えるので、ドルコスト平均法が機能します。ウクライナ戦争時にも、2022年に下落した後、2023〜2024年のS&P500が過去最高値を更新しています。「有事に積み立てを止める」という行動が、長期的なリターンを大きく毀損するパターンが多いです。
原則③ エネルギー・原油高の「波及」を生活で意識する
今回特に注意が必要なのは「原油高→インフレ→利上げ(または利下げ遅延)」という連鎖です。2026年3月16日時点では、年内の米利下げがなくなる可能性も市場で意識され始めています。高配当株・投資信託の保有者は、「利下げ前提のシナリオ」を一度見直しておく価値があります。また、日本では電気代・ガス代の政府補助が3月で終了する予定で、春〜夏に生活コストが上昇する可能性があります。投資だけでなく、家計全体を見直すタイミングです。
正直に言うと:私も10年間のポートフォリオ運用で、有事の判断を間違えたことがあります。含み損が300万円を超えた時に「これはもう終わりだ」と思って売った銘柄が、翌年には戻っていたという経験もします。「有事の感情」は平時の判断力を奪います。だからこそ、ルールを事前に決めておくことと、歴史的なパターンを知っておくことが、最大の「心の防衛」になると信じています。
まとめ:戦争と市場の歴史が教えてくれること
戦争はいつも「投資家の胆力」を試します。パニックは感染します。でも歴史を振り返れば、人類は何度も有事を乗り越え、市場は長期的に成長し続けてきました。今の混乱が「30年後のチャートのほんの一瞬」に見える日が来るかもしれません。
大切なのは「根拠なく怖がらない」こと、そして「根拠なく楽観しない」こと。ホルムズ海峡の行方、イランの政権交代の見通し、米国の財政への影響。情報を正確に追いながら、冷静に、あなた自身のポートフォリオを点検してみてください。
⚠️ 免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。掲載データは執筆時点のものであり、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
✍️ この記事を書いた人|ほげたろう
FP1級保有。新NISAで高配当株ポートフォリオを運用中(運用歴10年)。保有銘柄数は現在20銘柄。過去には含み損が300万円を超えた経験もあり、「損切りすべきか持ち続けるか」の葛藤を何度も経験。その経験をもとに、初心者が本当につまずく場所を正直に解説することをモットーにしています。「根拠を持って選ぶ投資」を広めるためにブログを運営中。
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