「金利が上がると返済額が増える」——頭ではわかっていても、実際にどのくらい家計が苦しくなるのか、具体的に計算したことがある人って、意外と少ないんじゃないでしょうか。

結論から言います。金利が1%上がっただけで、3,000万円のローンなら総返済額が約600万円増え、1億円のローンなら約2,000万円増えます。毎月の返済額に換算すると、家計への影響は「ちょっと苦しい」どころじゃないんです。

私は宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)を持ち、今は不動産テック企業でAIを使った不動産価格の査定システムを開発しています。「家を売るとき・買うときの情報格差をなくす」がミッション。飛び込み営業時代のリアルな現場経験と、日々データと向き合うエンジニア目線、その両方からこの記事を書きました。

この記事を読めば、自分がいくら借りたら毎月いくら返済することになるのか、金利が動いたらどう変わるのかが、ひと目でわかるようになります。住宅ローンを「なんとなく」で組むのをやめて、数字を味方につけた家計設計をしましょう。


住宅ローン、みんなどのくらい借りてるの?

「みんながどのくらい借りているか」を最初に知っておくと、自分の状況がどのポジションにあるのか見えてきます。

国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によると、住宅ローンの平均借入額は住宅の種類によって異なりますが、分譲戸建て住宅で約2,834万円、新築の土地付き注文住宅では約3,772万円というデータが出ています。

住宅の種類 平均借入額 平均返済期間
新築・土地付き注文住宅 約3,772万円 約34.5年
新築・分譲戸建て住宅 約2,834万円 約32.7年
新築・分譲マンション 約2,709万円 約31年前後
中古戸建て住宅 約1,614万円 約26年前後

出典:国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」をもとに作成

また、同調査によると住宅ローン利用者の年間平均返済額は約120〜155万円、月換算で約10〜13万円。この数字、実感として重いですよね。

さらに見逃せないのが金利タイプ。変動金利を選んでいる人が全体の約75〜78%を占めています(国土交通省調査)。つまり、多くの人が「金利が上がれば返済額が増える」リスクを抱えた状態でローンを組んでいるんです。

⚠️ 要注意ポイント

変動金利を選んでいる人が約8割。金利上昇の影響をダイレクトに受ける人が大多数という現実を、まずは直視してください。

金利1%の差って、実際いくら違うの?

「1%くらい大したことない」と思っていませんか。これが大間違いなんです。

元利均等返済・返済期間35年・ボーナス払いなしを前提に、借入額別に計算してみました。

借入額3,000万円の場合

金利 毎月返済額 総返済額 元本との差(利息総額)
0.5% 77,875円 3,270万円 +270万円
1.0% 84,686円 3,557万円 +557万円
1.5% 91,855円 3,858万円 +858万円
2.0% 99,378円 4,174万円 +1,174万円
2.5% 107,246円 4,504万円 +1,504万円
3.0% 115,455円 4,849万円 +1,849万円

※元利均等返済・返済期間35年・ボーナス払いなしで試算

金利0.5%と3.0%を比べると、毎月の返済額が約3.7万円も違います。総返済額に至っては1,579万円もの差。3,000万円借りたのに、金利次第で返す総額が3,270万円にもなれば4,849万円にもなる——これが住宅ローンの現実です。

💡 金利1%上がると、3,000万ローンでは…

たとえば0.5%→1.5%に変動した場合、毎月の返済額は約14,000円増加。年間で約17万円、35年間の総返済額では約588万円の増加になります。「たった1%」が、いかに重いかわかりますよね。

3,000万 vs 1億円ローン、金利上昇の「重さ」の違いがヤバい

ここが、この記事でいちばん伝えたいポイントです。

金利の上昇幅が同じでも、借入額が大きければ大きいほど、家計へのダメージは桁違いになります。

借入額 金利(当初) 毎月返済額 金利1%上昇後の毎月返済額 月次増加額 総返済額の増加(35年)
3,000万円 1.0% 84,686円 99,378円(2.0%時) +14,692円 +約617万円
5,000万円 1.0% 141,143円 165,630円(2.0%時) +24,487円 +約1,028万円
7,000万円 1.0% 197,600円 231,882円(2.0%時) +34,282円 +約1,440万円
1億円 1.0% 282,286円 331,740円(2.0%時) +49,454円 +約2,057万円

※元利均等返済・返済期間35年・ボーナス払いなしで試算

3,000万円で金利が1%上がると月+約1.5万円。これでも痛い。

でも1億円で金利が1%上がると、月+約5万円、35年で+2,057万円。もう、家がもう1軒建てられるレベルの増加です。

都内のタワマンや広いマンションを、「ペアローンで何とかなる」と7,000万〜1億円で組む人が増えているのが2025年前後の現実です。この数字を見たとき、「ヤバいな」と感じた方は正しい感覚を持っています。

🔴 気軽に借りてはいけない理由

借入額が大きいほど、金利上昇の絶対額インパクトは倍以上になります。「今の金利が低いから大丈夫」という発想で大きなローンを組むのは、金利上昇リスクを甘く見すぎています。

「返済負担率」で見る、安全ラインの目安

「自分はいくらまで借りても大丈夫?」——この疑問に答えるための指標が返済負担率(へんさいふたんりつ)です。

返済負担率とは、年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合のこと。一般的に安全ラインは手取り年収の20〜25%以内が目安とされています。

📊 返済負担率の計算式

返済負担率(%)= 年間返済額 ÷ 額面年収 × 100

ただし、実際の家計は「手取り」で動くので、手取り年収(額面の約75〜80%)に対して20〜25%以内が現実的な安全ライン。金融機関の審査は「額面年収の35%以内」が多いですが、審査が通ることと「生活に余裕がある」はまったく別の話です。

世帯年収別・推奨借入額の目安

国土交通省・住宅金融支援機構のデータをもとに、このブログを読んでいる共働き世帯によくある世帯年収帯で整理しました。

世帯年収 手取り年収(目安) 年間返済額の安全ライン
(手取りの20%)
推奨借入額の目安
(金利1.0%・35年)
600万円 約455万円 約91万円(月7.6万円) 約3,200万円まで
800万円 約605万円 約121万円(月10.1万円) 約4,300万円まで
1,000万円 約740万円 約148万円(月12.3万円) 約5,200万円まで
1,200万円 約870万円 約174万円(月14.5万円) 約6,100万円まで
1,500万円 約1,070万円 約214万円(月17.8万円) 約7,500万円まで

※手取りは社会保険料・所得税等を差し引いた目安。金利1.0%・35年・元利均等返済で試算

重要なのは、これはあくまで「安全ライン」であって「借りられる上限」ではないということ。金融機関の審査では、もっと高い金額が通ることもあります。でも審査が通ることと、老後まで無理なく返せることは、まったくの別問題です。

また、子どもの教育費・医療費・親の介護など、将来の支出増も必ず見越した上で逆算することが大切です。

ペアローンって何?共働き夫婦が陥りやすい落とし穴

共働き夫婦の間で急増しているのがペアローンです。

そもそもペアローンって何?

ペアローンとは、夫婦それぞれが個別に住宅ローンを組み、互いに連帯保証人になる仕組みです。たとえば7,000万円の物件を、夫が4,000万円・妻が3,000万円で分担して借りる、といったイメージです。

✅ ペアローンのメリット
  • 単独より大きな金額を借りられる
  • 夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
  • 金利タイプを夫婦で変えられる(夫:固定、妻:変動 など)
  • 夫婦それぞれが団信に加入できる
⚠️ ペアローンのデメリット
  • 離婚時の処理が非常に複雑になる
  • どちらか一方が収入を失うと即座に返済が苦しくなる
  • 片方が死亡しても「自分のローン残高」は残る
  • 諸費用(手数料等)がローン2本分かかる

三井住友トラスト・資産のミライ研究所の調査(2025年)によると、ペアローンの利用率は2020年の18.8%から2024年には30.2%へと急増し、今や3組に1組が選んでいます。 都心マンション価格の高騰が、夫婦の収入を合算しないと買えない状況を生み出しているんです。

ペアローンの最大リスクは「離婚」と「収入減」

ペアローンを組む前に、絶対に目を背けてはいけない事実があります。

内閣府男女共同参画局のデータによると、日本では毎年約60万組が結婚し、約21万組が離婚しています。統計的には約3組に1組が離婚するという計算です。そして離婚件数のピークは同居期間5年未満(日本経済新聞より)。住宅ローンの残債が最も多い時期に、離婚リスクが高いんです。

ペアローンを組んだ夫婦が離婚した場合、どうなるか。

  • ローンの名義変更は金融機関がほぼ認めない(実質不可)
  • どちらかが住み続けたい場合、片方のローンを買い取る現金が必要→ほとんどの会社員夫婦には不可能
  • オーバーローン(残債>売却価格)だと、売却してもローンが残り続ける
  • 放置すると固定資産税・ローン返済が離婚後も2人に発生し続ける
🔴 ペアローン×離婚=ほぼ詰み

「ペアローン残高が残っている双方の選択肢は、最終的にほぼ『マンションの売却』のみ」(フラット35相談センターより)。売ってローンを完済できればまだいい。オーバーローンだったら、離婚後も2人でローンを払い続けることになります。

また、産休・育休・転職・病気などで妻の収入がゼロになった場合も要注意。ペアローンでは「妻のローン」は妻が返済し続ける義務があり、夫が連帯保証人として返済義務を負います。夫1人で2人分のローンを抱えることになるんです。

ペアローンを選ぶなら、これだけは確認して

  • 片方の収入だけで、最低限の返済が続けられるか?
  • 連生団信(連帯債務型の団信)に加入しているか? →片方が死亡した場合に残高が全額ゼロになる
  • 頭金は多めに入れているか?オーバーローンになりにくい価格設定か?
  • ペアローン2本分の諸費用(手数料等)を試算したか?

変動金利 vs 固定金利、今どっちを選ぶべき?

「変動にするか固定にするか」——これは住宅ローンの永遠の議論ですが、正直、正解はありません。ただ、判断材料は整理できます。

変動金利の仕組みをちゃんと理解できてる?

変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」という保護機能があります。

📌 5年ルール・125%ルールとは

5年ルール:金利が変わっても、毎月の返済額の見直しは5年に1回のみ。
125%ルール:返済額が変わる場合でも、前回の返済額の1.25倍を超えてはいけない。

ただし!返済額が増えなくても「未払い利息」が発生します。返済額のうち利息分が増えて元本がほぼ減らない、最悪の場合は元本が増えていくことも。これを「逆ざや」と呼びます。

今の金利水準から見た選び方の目安

変動金利 固定金利(全期間)
現在の金利水準(2026年3月時点) 0.3〜0.6%前後(主要ネット銀行) 1.5〜2.0%前後(フラット35等)
向いている人 繰上返済を積極的に行える人
金利上昇時に対応できる貯蓄がある人
返済額を固定したい人
金利リスクを避けたい人
借入額が大きい人
最大のリスク 金利上昇で返済額・総返済額が増加 当初の返済額が高め(金利低下でも恩恵なし)

日銀は2024〜2025年と利上げを続けており、変動金利は今後も上昇傾向が続く可能性があります。ダイヤモンド不動産研究所の試算では、今後10年で変動金利が2%台後半〜3%台に上昇するシナリオも想定されています。

💡 ほげたろうの見立て

借入額が大きいほど(5,000万円超)、変動金利の上昇リスクは家計への影響が甚大です。「今は変動が安いから変動」という判断ではなく、「金利が3%になっても返済できるか」を先にシミュレーションしてから決めるのが正しい順番だと私は考えています。FP1級として多くの家計相談を受けてきた経験上、「あのとき固定にしておけば」という後悔を語る人を何人も見てきました。

金利上昇に備えるための3つの対策

変動金利でローンを組んでいる、または組もうとしているなら、今からできる対策を知っておきましょう。

対策① 繰上返済で元本を早めに減らす

金利は元本(残高)に対してかかります。つまり、元本を早めに減らせば、金利上昇の影響を小さくできます

繰上返済には2種類あります。

  • 🔵期間短縮型:返済期間を短くする。総利息を大幅に減らせる。老後の完済時期を早められる。
  • 🟢返済額軽減型:毎月の返済額を下げる。手元の余裕が生まれる。家計の柔軟性を確保したいときに有効。

対策② 固定金利への借り換えを検討する

金利上昇が決まった後では遅い。「まだ金利が低いうち」に固定金利へ借り換えておくという発想も重要です。

ただし借り換えには諸費用(保証料・登記費用・手数料など)が一般的に30〜100万円程度かかります。総コストを計算した上で判断しましょう。

対策③ 金利上昇分を貯蓄でカバーできる「バッファー」を作る

変動金利を選んだなら、金利が1〜2%上昇したときの増加分を毎月積み立てておくという方法が効果的です。

たとえば3,000万円の変動ローンなら、金利1%上昇時の月次増加分は約1.5万円。毎月1.5万円を積み立てておけば、実際に金利が上がったときのショックを吸収できます。

🛡️ 対策まとめ

① 余剰資金は繰上返済に回して元本を早めに圧縮
② 借り換えコストを試算しつつ、固定への切り替えを検討
③ 金利上昇分をシミュレーションし、月次積立で備える

まとめ:借りる前に、数字を正面から見てほしい

住宅ローンは「借りられる金額」ではなく「返せる金額」で組むのが鉄則です。

この記事のポイントをまとめます。

  • 📌金利1%の差は、3,000万円ローンで総返済額約600万円・1億円ローンで約2,000万円の差を生む
  • 📌返済負担率は手取り年収の20〜25%以内が安全ライン
  • 📌ペアローンは借入上限を上げる魔法ではなく、「2人でずっと働き続ける前提」のギャンブル的な側面がある
  • 📌変動金利を選ぶなら「金利3%になっても返せるか」を先に試算する
  • 📌対策は繰上返済・借り換え・バッファー積み立ての3本柱

「家を買う」ことは人生最大の買い物です。だからこそ、気持ちや感覚ではなく、数字ベースで判断する習慣をつけてほしいんです。

「難しそう」と感じた方も大丈夫。このブログでは、これからも不動産・お金の「なんとかなる」情報を発信し続けます。ご不明な点はコメント欄や問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。


⚠️ 注意事項・免責事項
本記事のシミュレーション数値は、元利均等返済・返済期間35年・ボーナス払いなしを前提とした概算です。実際の返済額は金融機関や返済方法・団信の有無・諸費用等によって異なります。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の金融・法律アドバイスではありません。住宅ローンの選択にあたっては、金融機関やファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。

📎 参考・出典


✍️ この記事を書いた人|ほげたろう

宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)保有。今は不動産テック企業でAIを使った不動産価格の査定システムを開発。「家を売るとき・買うときの情報格差をなくす」がミッション。飛び込み営業時代や不動産投資の失敗も含めたリアルな体験と、日々データと格闘するエンジニア目線の両方から「不動産ゼロからナビ」を運営。4人家族、地方在住。「難しそう」を「なんとかなる」に変える情報を発信中。
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