「米イラン戦争で株が下がる3つの理由|日経平均・金・ペソ、今後の3シナリオをFP1級が解説」
「NISAの積み立て、このまま続けてて大丈夫?」「含み損がじわじわ増えてるけど、何が起きてるの?」
そう思いながらニュースをチェックしたら、「ホルムズ海峡封鎖」「原油100ドル突破」「日経平均が一時1500円安」…という見出しが並んでいた。そんな経験、2026年3月に入ってからした人、めちゃくちゃ多いと思います。
結論から言います。今の株価下落の主な原因は、2026年2月28日に始まったアメリカ・イスラエルによるイランへの軍事攻撃です。そしてこの「有事」が、原油・金・為替・日本株に複雑な影響を与えています。
ちなみに私はFP1級を持っていて、10年以上高配当株ポートフォリオを運用してきました。含み損が300万円を超えた経験もある。だからこそ「わけわからん、売るべきか?」という焦りの気持ちは本当によくわかる。この記事では、そんな初心者投資家の目線で、今何が起きているのかを正直に解説します。
この記事を読めば、「なぜ株が下がっているのか」「金がなぜ逆に下がるのか」「メキシコペソはどうなる?」「日経平均の今後の3シナリオ」まで、一気に整理できます。
何が起きているのか?── 米イラン戦争の全体像
まず状況を整理しましょう。2026年2月28日、アメリカとイスラエルは共同軍事作戦「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」を開始し、イランの首都テヘランなどを攻撃。翌3月1日にはイランの最高指導者アリー・ハーメネイ師が死亡したと報じられました。
これは突然のことではありません。背景には2025年6月の「12日間戦争」(イスラエルがイランの核施設を空爆)があり、その後もイランへの経済制裁が続き、2025年12月にはイランで大規模な反政府デモが勃発。その混乱の中で今回の大規模攻撃に至りました。
📅 米イラン衝突 時系列マップ
ポイントは「ホルムズ海峡」です。この海峡は世界の原油輸送量の約20%(日本にとっては輸入原油の9割超)が通過する、まさにエネルギーの大動脈。ここが機能不全になると、日本経済への影響は直撃となります。
なぜ株価が下がっているのか、3つの理由
3月2日、日経平均は一時1500円超下落しました。3月4日には終値で2033円安(前日比▲3.6%)という史上5番目の下げ幅を記録しています。なぜこんなことが起きているのか、理由を3つに整理します。
企業コスト増
リスク回避
利下げ観測後退
ちなみに野村証券の分析によると、原油価格が1ドル/バレル上昇するごとに、日経平均は約630円下落するという感応度が計算されています。原油が10%上昇すると日経平均が約8.4%下落するという計算です。
現在(3月20日時点)の日経平均は5万4000円前後で推移していますが、これは2月末の6万円近い水準からの大幅な下落です。野村証券のメインシナリオでは年末の日経平均を6万円と予想していますが、イラン情勢次第では大きく変わる可能性があります。
原油が上がっているのに、金はなぜ下がる?
「有事の金(ゴールド)」という言葉を聞いたことがある人も多いはず。「戦争になれば金が上がる」というイメージです。でも今回はちょっと違う動きをしていて、正直「なんで?」ってなっている人も多いと思います。
実際の動きを整理しましょう。攻撃開始直後の3月2日にはNY金先物が5418ドルまで急騰しました。ところがその後、6営業日続落という異例の展開。3月16日には一時5000ドルを割り込む場面もありました。
🥊 金価格の「綱引き」構造
📈 買い材料(金高要因)
- 有事の安全資産需要(地政学リスク)
- インフレヘッジとしての需要
- 各国中央銀行の金積み増し
- ドル不信任による代替資産需要
📉 売り材料(金安要因)
- 原油高→インフレ→FRBが利下げできない→ドル高
- ドル高が進むと金(ドル建て)は割高になり売られる
- 株・不動産の損失補填のために金を換金売り
- FRBの年内利下げゼロ観測の浮上
これはわかりにくいですよね。「戦争なのになんで金が下がるの?」ってなると思う。でも仕組みを理解すれば「なるほど、そういうことか」と腑に落ちるはずです。
ポイントは、「有事の金買い」よりも「ドル高・利上げ継続」の圧力のほうが今は強いということです。ただし専門家の間では「現在の下落は魅力的な買い場」という声も根強く、長期的に金を積み立てている人は焦って売る必要はないでしょう。
メキシコペソへの影響── 上昇圧力なのか、下落圧力なのか
「メキシコペソのスワップポイントが好きで保有してます!これどうなりますか?」という声、私もすごく気になってたので調べました。正直に言うと、今回のイラン情勢はメキシコペソには複雑な影響を与えています。
🇲🇽 メキシコペソへの影響:プラス要因 vs マイナス要因
↑ ペソにプラスの要因
原油高はメキシコの国家収入を増やす(メキシコは産油国)。メキシコの政策金利(バンシコ)は7%台と日本より高く、スワップポイントの魅力は継続。2026年3月時点でメキシコペソは円に対して9円前後で推移。↓ ペソにマイナスの要因
有事のリスクオフでドルが買われ、新興国通貨のペソは売られやすい。米国向け輸出が9割弱を占めるメキシコは、米国景気悪化の影響をモロに受ける。米国の輸入税(関税)の影響で輸出が減少傾向。ちなみにOANDA証券の分析では、2026年3月時点でペソ/円は9円前後で推移し、長期的なレジスタンス(上値抵抗線)である9.4円をなかなか突破できない状況が続いています。スワップ目的の保有はそのままで良いと思いますが、レバレッジをかけている人は証拠金に余裕を持っておくことをおすすめします。
日本のガソリン代・物価はこれからどうなるの?
「ガソリン代がまた上がるの…勘弁してよ」という感覚、私も完全に共感します。2022年のロシア・ウクライナ戦争のときも同じことを経験しましたが、今回も同じ構造が起きています。
現在、東京商品取引所の原油先物相場は一時1キロリットル当たり9万円を付け、2008年7月以来の高値水準を記録しました。これが私たちの生活に与える影響を整理します。
🔥 原油高→生活への波及ルート
ただし、これが続くかどうかは「紛争が長引くかどうか」次第です。過去の事例を見ると、地政学リスクによる原油高は一般的に「短期的なスパイク」になることが多く、停戦や状況安定化の兆しが見えると一気に価格が戻ることもあります。楽観シナリオでは早期停戦→原油安→物価落ち着きという展開もあり得ます。
有事に「上がりやすい」資産・セクターはこれだ
「じゃあ今何を買えばいいの?」という気持ちはよくわかります。ただし断言はできません。あくまで「過去の有事でこういうセクターが動きやすかった」という傾向をお伝えします。
📊 有事で動きやすいセクター・資産(過去の傾向)
| セクター / 資産 | 傾向 | 理由・ポイント | 日本の代表銘柄例 |
|---|---|---|---|
| ⚡ エネルギー関連(石油・天然ガス) | ↑ 上がりやすい | 原油・天然ガス価格の上昇が収益に直結 | INPEX(1605)、ENEOS(5020) |
| 🛡️ 防衛・重工業 | ↑ 上がりやすい | 安全保障への注目度が高まり、受注増期待 | 三菱重工(7011)、IHI(7013)、川崎重工(7012) |
| 🏦 メガバンク | ↑ やや注目 | インフレ→金利上昇→利ざや改善期待 | 三菱UFJ(8306)、三井住友(8316) |
| 🏢 総合商社 | ↑ やや注目 | 資源価格上昇が商社の資源部門に追い風 | 三菱商事(8058)、伊藤忠(8001) |
| 🥇 金(ゴールド)関連 | △ 状況による | 今回はドル高・利上げ観測が上値を抑制。長期的には有力 | 住友金属鉱山(5713)、金ETF等 |
| 💴 米ドル(円売り) | ↑ やや注目 | 有事のドル買い。ただし有事の円買いとの綱引きも | 為替取引(FX)、外貨預金等 |
特に注目なのが防衛関連株です。三菱重工は地政学リスクが高まった1月5日に一時9%超の上昇を記録しました。日本の防衛費は2027年度に約11兆円まで増加する見通しで(現在の2倍規模)、これは有事関係なく中長期のテーマになりつつあります。
有事に「下がりやすい」資産・セクターも整理しておく
これも大事なポイントです。「自分が保有している銘柄は大丈夫?」という確認のためにも見ておいてください。
✈️ 航空・旅行
燃油サーチャージが急上昇し収益が圧迫。イラン攻撃後に燃油コストが跳ね上がり株価が軟調に推移。
🚗 自動車・輸送機器
エネルギーコスト増+中東経由の部品調達が遅延。実質賃金の伸び悩みによる国内消費減退のダブルパンチ。
🚢 海運(物流停滞リスク)
運賃高騰の期待がある一方、実際に船が動けないリスクも。日本郵船など40隻超が待機・停止を余儀なくされた場面も。
🧪 化学・素材(ナフサ高騰)
石油由来の原料「ナフサ」の高騰が製造コストを押し上げ。調達難で減産を余儀なくされるリスクも浮上。
もしあなたが航空や自動車株を高配当目的で保有しているなら、一時的に配当利回りは下がらないかもしれませんが、株価下落によって含み損が増える可能性があります。「配当はもらえるけど、元本が減っていく」という状況です。長期保有の方針ならばホールドが正解かもしれませんが、現状を把握した上での判断が大切です。
FP1級的シナリオ分析── 楽観・メイン・悲観の3パターン
FP1級の試験ではシャープレシオやモンテカルロ・シミュレーションを学びますが、実際の相場分析では「複数シナリオの確率を想定して判断する」という考え方が基本です。今回の三井住友DSアセットマネジメントの分析を参考に、3つのシナリオを整理してみます。
重要なのは、どれか一つのシナリオに賭けるのではなく、「起こりうる複数のシナリオを想定して、自分のポートフォリオはどこまで耐えられるか」を考えることです。
根拠:トランプ大統領が「終わりは近い」と示唆。トランプ政権が3〜6週間での作戦終了を想定していると報じられ、イランも国内経済疲弊を背景に早期収拾を模索する動機がある。
根拠:ホルムズ海峡の完全封鎖はイラン自身の原油収入にも打撃となるため長期維持は困難。イスラエルは少なくとも3週間以上の作戦を予定しており、即時解決も難しい。
根拠:イランはすでにカタールのLNG施設などを攻撃。「湾岸諸国のエネルギー施設は正当な攻撃対象」とイランが警告しており、拡大のリスクは否定できない。ただしトランプが米国経済への打撃を懸念して方針を急転換するシナリオも同時に存在する。
為替(ドル/円)については特に読みにくい局面です。「有事のドル買い」(アメリカの基軸通貨としての安全資産需要)と「有事の円買い」(日本円もリスクオフ時に買われる傾向がある)がぶつかり合っています。これは過去のデータでも方向感が定まらないケースが多く、「わからない」というのが正直な答えです。
歴史から学ぶ── 過去の「有事」で相場はどう動いたか
「過去は未来を保証しない」のは大前提ですが、歴史のパターンを知っておくことは大切です。特に今回と似た「中東の地政学リスク」の事例を見てみましょう。
📚 過去の中東「有事」と市場の動き(参考)
1973年・中東戦争
1990〜91年
2003年
2022年2月
まとめ── 今、私たち投資家はどう動くべきか
最後に、今の状況を整理して「じゃあどう動くか」を考えましょう。ただし、ここで声を大にして言いたいのは、「誰も正確な未来はわからない」ということです。私もFP1級の資格を持っていて10年以上運用してきましたが、それでも「絶対にこうなる」とは言えません。
✅ 有事の今、投資家がやるべきこと・やってはいけないこと
含み損が増えていると焦るが、まずは現状把握だけ。パニック売りは「最安値で売る」になりやすい。
暴落時は「口数が多く買える」チャンス。積み立てを止めることで、コスト平均法の恩恵を失う。
SNSの「〇〇がヤバい」系の情報に振り回されない。日経・Bloomberg・ロイターなどで確認する習慣を。
ボラティリティが高い局面では強制ロスカットのリスクが上昇。余裕資金で運用しているか再確認を。
有事で上がると言われるセクターも、短期的な急騰後に利益確定売りで急落するケースは多い。
地政学リスクの相場は読みにくい。停戦ニュース一つで大きく逆転するのが有事の相場の特徴。
正直に言いますが、今の相場は「うまく当てよう」とするよりも、「どのシナリオになっても生き残れるポートフォリオを維持する」ことのほうが大切です。
私も過去に含み損が300万円を超えたとき、焦って売ったり買ったりを繰り返してしまった経験があります。あのときに「何もしなかった」ほうが結果的によかったケースもありました。有事の相場で一番怖いのは、「自分の判断に自信を持ちすぎること」かもしれません。
あなたのポートフォリオが今後どう動くかは誰にもわからない。でも、この記事を読んで「今何が起きているか」を理解した上での判断と、「よくわからないまま」の判断とでは、長期的に大きな差が生まれると私は信じています。
引き続き状況を注視しながら、焦らず、着実に投資を続けていきましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。掲載データは執筆時点(2026年3月20日)のものであり、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
📎 参考・出典
- 📄 日本国際問題研究所 | 国問研戦略コメント(2026-8)米国・イスラエルによるイラン攻撃と中東秩序の再編
- 📄 三井住友DSアセットマネジメント | 市川レポート:イラン攻撃で大幅安の日経平均はいったん反発〜今後の展開を考える
- 📄 野村證券ウェルスタイル | 原油価格や停戦確率との連動性が高まる日経平均先物
- 📄 Bloomberg Japan | ブレント原油一時113ドルに迫る、イランがカタールLNG攻撃
- 📄 Bloomberg Japan | 金価格5000ドル割れ、イラン戦争に伴う原油高で利下げ観測後退
- 📄 三菱マテリアル ゴールドパーク | 豊島逸夫の手帖:イラン戦況悪化、金価格動かず
- 📄 OANDA証券 | メキシコペソ/円(MXN/JPY)の見通し 2026年
- 📄 CNN Japan | イラン衝突は「数週間以内に終結」、米政権高官が楽観的見通し