含み損から浮上!アステラス製薬(4503)を徹底分析|なぜ下がって、なぜ戻ったのか
「娘のために買ったのに、ずっと含み損…。配当はもらえてるけど、本当にこのまま持ち続けていいの?」
ジュニアNISA口座でアステラス製薬(4503)を買ったあなたへ。そのモヤモヤ、正直すごくわかります。2023年5月に2,250円で購入して、その後じわじわ下がって1,400円台まで落ちた時期もあった。「なんでこんなことに…」と思った方も多いはずです。
でも、結論から言うと、アステラス製薬はいま確実に回復軌道に入っています。
ちなみに私はFP1級を持っていて、10年以上高配当株を運用してきました。含み損が300万円を超えた時期もあったからこそ、「なぜ下がったのか」「どこで踏ん張れるか」の感覚は身に染みてわかります。だからこそ、今回はアステラスの「なぜ下がったか」と「なぜ戻ってきたか」を、数字ベースで正直に解説します。
この記事を読み終わると、「なんとなく不安」が「根拠のある判断」に変わります。娘さんが大学生になった頃に「あのとき持ち続けてよかった」と思えるかどうか——その判断材料を、ここで全部渡します。
—アステラス製薬ってどんな会社?まずここを押さえておこう
アステラス製薬は2005年、山之内製薬と藤沢薬品工業の合併によって誕生した国内大手製薬メーカーです。東証プライム上場(証券コード4503)で、日経平均225採用銘柄でもあります。 売上収益の約82%が海外(うち米国だけで約42%)という、実質グローバル企業。「新薬の研究開発に特化した製薬会社」で、ジェネリック医薬品(後発薬)は作っていません。 主力製品はがん・免疫・泌尿器系の領域に集中しています。過去10年の財務データ|一覧インフォグラフィック
数字を並べるだけじゃ正直わかりにくいですよね。なので、特に重要な指標を視覚化してみます。| 決算期 | 売上収益 (億円) |
営業利益 (億円) |
当期純利益 (億円) |
EPS (円) |
配当金 (円/株) |
配当性向 (%) |
ROE (%) |
自己資本比率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2016年3月期 | 12,992 | — | 2,179 | 約90 | 32 | 35.7% | — | — |
| 2017年3月期 | 13,117 | — | 2,187 | 約104 | 34 | 32.8% | — | — |
| 2018年3月期 | 13,003 | — | 1,647 | 約81 | 36 | 44.4% | — | — |
| 2019年3月期 | 13,063 | 2,439 | 2,223 | 約115 | 38 | 33.0% | — | — |
| 2020年3月期 | 12,965 | — | 1,954 | 約104 | 40 | 38.4% | — | — |
| 2021年3月期 | 12,495 | 1,361 | 1,206 | 約65 | 42 | 64.7% | — | — |
| 2022年3月期 | 12,962 | 1,557 | 1,241 | 67.1 | 50 | 74.5% | — | — |
| 2023年3月期 | 15,186 | 1,330 | 987 | 54.2 | 60 | 110.6% | — | — |
| 2024年3月期 | 16,037 | 255 | 170 | 9.5 | 70 | 736.4% | 約1.7% | — |
| 2025年3月期(実績) | 19,123 | 410 | 507 | 28.4 | 74 | 261.1% | 3.35% | 48.9% |
| 2026年3月期(予想) | 21,000 | 3,400 | 2,500 | 約139 | 78 | — | 14.18%(予) | — |
※2016〜2020年の一部データはIFRS基準での組み替えにより数値が異なる場合があります。配当金・EPSは株式分割調整後の数値(IRBANKおよびアステラス製薬公式IR資料より)。「—」は確認できなかったデータ。2024年3月期の配当性向736%は、利益が極小になったためで、配当金は維持されました。
配当金推移を見てほしい|じつは15年間ずっと増配してます
これ、あまり知られていないんですが、アステラス製薬は株価が下落していた時期も含めて、**一度も減配していません**。2013年3月期から連続増配を続けており、2026年3月期の78円(予想)が実現すれば**14期連続増配**の達成です。配当金は2015年3月期の30円から2026年3月期予想の78円まで、約2.6倍に増えています。💰 試算:ジュニアNISAでの配当受取イメージ
証券口座で受け取った場合と比べて、その分まるっと手取りになります。
※ジュニアNISAの非課税措置の詳細は金融庁公式サイトをご確認ください。
なぜあんなに下がったのか?3つの原因
2023年5月の高値2,360円から2024年4月には1,426円まで下落しました。約40%の下落です。これには明確な理由があります。❶ イクスタンジ(XTANDI)の「特許の崖」問題
アステラスの売上の約47%を占める主力薬・前立腺がん治療薬「イクスタンジ(エンザルタミド)」が、2027年前後に主要国で特許切れを迎えることがわかっていました。特許が切れると後発品(ジェネリック)が登場し、売上が急減するリスクがあります。この「2027年問題」が市場で意識され、株価の重しになっていました。
❷ 次世代薬の立ち上がりが大幅に想定を下回った
更年期障害治療薬「ベオーザ(フェゾリネタント)」は2023年米国承認時、ピーク売上5,000億円と期待されていました。ところが2024年3月期の実績はわずか73億円。また腎性貧血薬「エベレンゾ」も競争激化で減損損失を計上。期待していた次の柱が育たなかったことで、投資家の失望を招きました。
❸ 2024年3月期に4回も下方修正。市場の信頼を失った
2024年3月期、アステラスは当初「営業利益2,880億円」という強気な予想を立てていました。しかし四半期ごとに下方修正を繰り返し、最終的な営業利益は255億円と当初予想の約10分の1に。純利益は前期比82.7%減の170億円という衝撃の結果でした。「また裏切られた」と感じた投資家が売りに動き、1,426円まで下落しました。
じゃあ、なぜ今は戻ってきているのか
実は2025年に入って、アステラスの景色が大きく変わりました。いくつもの良いニュースが重なって、「あれ、これ思ってたより全然いい会社じゃん」と市場が再評価し始めています。📌 PADCEV(パドセブ)の急成長
+36%尿路上皮がん治療薬「パドセブ(エンホルツマブ ベドチン)」の2025年度上半期売上は1,025億円、前年同期比+36%増。一次治療への適応拡大で25カ国で承認が広がり、世界的に需要が拡大しています。ピーク売上は4,000〜5,000億円と見込まれています。
📌 VYLOY(ビロイ)が想定以上に伸びた
+100%超胃がん治療薬「ビロイ(ゾルベツキシマブ)」の2025年度上半期売上は266億円、前年同期比100%以上の成長。前年ほぼゼロから急拡大し、重点戦略製品の中で最も伸び率が高い製品になっています。
📌 XTANDI(イクスタンジ)も想定超えで好調
+700億円2026年3月期の通期予想でイクスタンジの売上が当初予想より700億円上振れする見込みに。特許切れが近づく中でも、全地域で販売が好調に推移しています。
📌 重点5製品の合計が43%増
+2,200億円超PADCEV・VYLOY・IZERVAY・VEOZAH・XOSPATAの重点戦略5製品の合計売上は2025年度上半期で2,200億円超、前年同期比43%増加。新薬群が本格的に収益貢献し始めました。
📌 コスト削減も効いてきた
SMT効果全社的なコスト最適化プログラム「Sustainable Margin Transformation(SMT)」が想定以上に進捗。販管費率の改善が利益を押し上げ、コア営業利益は2025年度上半期で前年同期比+54%の増加に貢献しました。
📌 2026年3月期 通期予想をさらに上方修正
純利益4.9倍予想2026年3月期の純利益予想が段階的に上方修正を重ね、最新(2026年2月4日発表)では2,500億円(前期比4.9倍)に。営業利益も3,400億円(前期比8.3倍)と、7期ぶりの過去最高益更新が視野に入っています。
前立腺がん
尿路上皮がん
胃がん
眼疾患
これからどうなる?持ち続けるべきか考えるポイント
正直に言います。「確実にこうなる」とは誰にも言えません。でも判断材料は整理できます。✅ 強み・ポジティブな材料
- 新薬群(パドセブ・ビロイ等)が想定以上に成長中
- 配当金は15年以上増配継続、株価低迷期も減配ゼロ
- 2026年3月期純利益予想1,800億円、6年ぶり高水準
- 自己資本比率約49%で財務は健全
- パドセブのMIBC(筋層浸潤性膀胱がん)への適応拡大申請がFDAに受理済み
- 全社コスト最適化(SMT)が想定以上に進捗
⚠️ リスク・注意すべき材料
- イクスタンジの特許切れ(2027年前後)は確定。売上急減は避けられない
- 新薬の成長が特許切れをカバーできるかは未確定
- アイザーベイが患者の負担能力問題で下方修正されるなど、計画通りにいかない製品もある
- 製薬は開発中止・承認遅延のリスクが常にある
- 為替(円高)の影響を受けやすい(売上の約82%が海外)
まとめ:娘さんのために買ったあなたへ
長々と読んでいただきありがとうございます。最後に整理します。 あなたは2023年5月に2,250円でアステラス製薬を買いました。その後、株価は1,400円台まで落ちて、今は2,200〜2,500円前後まで戻ってきています。 下がった理由はあった。でも、その理由は「会社がダメになったから」ではなく、「市場が将来を悲観しすぎた」からでもあります。実際、配当金は一度も減らされませんでした。 そして今、業績は確実に回復しています。新薬群が想定以上に育ち、2026年3月期の純利益予想は2,500億円(前期比4.9倍)と7期ぶりの過去最高益更新が視野に入っています。配当金も78円(予想)まで増配の見込みです。📋 これを確認しながら引き続きウォッチを
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。掲載データは執筆時点のものであり、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
・IRBANK|アステラス製薬(4503)会社業績
・IRBANK|アステラス製薬(4503)配当金の推移
・Yahoo!ファイナンス|アステラス製薬(4503.T)株価情報
・金融庁|NISA・ジュニアNISA制度について
・アステラス製薬 2025年度第2四半期(中間期)決算概況(2025年10月30日、アステラス製薬公式)
・アステラス製薬 2025年度第3四半期決算および通期業績予想上方修正(2026年2月4日、アステラス製薬公式)
・日本経済新聞「アステラス、通期純利益予想を上方修正 1800億円から2500億円に」(2026年2月4日)
FP1級保有。新NISAで高配当株ポートフォリオを運用中(運用歴10年)。保有銘柄数は現在20銘柄。過去には含み損が300万円を超えた経験もあり、「損切りすべきか持ち続けるか」の葛藤を何度も経験。その経験をもとに、初心者が本当につまずく場所を正直に解説することをモットーにしています。「根拠を持って選ぶ投資」を広めるためにブログを運営中。