「都内のマンションが高く売れたから、次は広くてキレイな家に住みたい!」

……わかります。築20年のマンションを売って、手残り1,000万円以上。せっかくなら築浅のキレイなマンションに住み替えたいですよね。

でも、その「築浅」で探し始めた瞬間、壁にぶつかるんです。流山おおたかの森や柏駅は、築10年以内に絞ると一気に5,000万円〜6,000万円台まで跳ね上がる。「千葉に来れば安い」と思っていたのに、ぜんぜん安くない……。

そこで今回は、前回の記事(流山おおたかの森・柏は高い…それなら”豊四季”が穴場な3つの理由)で紹介した3エリアを、「築10年以内」に条件を絞ってもう一度比較してみます。都内マンションの売却益で築浅・新築を狙いたい方にとって、本当にコスパがいいのはどこなのか?

私は宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)を持ち、今は不動産テック企業でAIを使った不動産価格の査定システムを開発しています。飛び込み営業時代のリアルな現場経験と、日々データと向き合うエンジニア目線、その両方からこの記事を書きました。

この記事を読むと、「同じ予算で、どのエリアならどんなグレードの家に住めるのか」がクリアになります。ぜひ最後まで読んでみてください。


📋 この記事でわかること

  1. なぜ「築10年以内」で比較するのか?
  2. 築10年以内で比較!流山おおたかの森 vs 柏 vs 豊四季
  3. 豊四季の「築浅物件がない」問題——じゃあ何がある?
  4. 豊四季で「土地+注文住宅」は現実的?相場と用途地域を調べてみた
  5. シミュレーション:売却益1,000万円で何が買える?
  6. まとめ:築浅にこだわるか、広さを取るか

なぜ「築10年以内」で比較するのか?——都内売却組のリアルな心理

前回の記事では、3エリアを「全築年数平均」で比較しました。柏駅は約2,800万円(70㎡換算)、豊四季は約1,900万円台と紹介しましたが、ここには落とし穴があります。

柏駅は築21年以上の物件が全体の58%を占めています(IESHIL調べ)。つまり、全築年数平均の「2,800万円」は、古い物件にかなり引っ張られた数字なんです。

一方で、この記事で想定しているのは「都内マンションの売却益500万〜1,000万円+手残り1,000万円以上」を持っている人。正直、お金はある程度ある。だったら築古のリノベよりも、築浅のキレイなマンションを狙いたくなりますよね。

実際、LIFULL HOME’Sのデータで柏駅の相場を見ると、築年数で価格がこれだけ変わります。

📊 柏駅の中古マンション平均価格(70㎡換算)築年数別
築年数条件 平均価格(70㎡)
指定なし(全築年数)約2,901万円
築20年以内約3,628万円
築10年以内4,000万〜6,000万円台

出典:LIFULL HOME’S 柏駅 中古マンション価格相場(2026年3月更新)

築年数を指定しないと約2,900万円ですが、築10年以内に絞った瞬間、4,000万円台〜6,000万円台の価格帯にジャンプします。約1,000万円以上の差。これ、知らないまま物件探しを始めると「あれ?思ったより高くない?」ってなるやつです。

だからこそ、「築浅で探すとどうなるのか」を最初から知っておくことが大事。前回記事の補完版として、築10年以内に絞って比較していきましょう。

築10年以内で比較!流山おおたかの森 vs 柏 vs 豊四季——価格はどれだけ変わる?

ここが今回の記事のメインです。LIFULL HOME’S、マンションレビュー、ダイヤモンド不動産研究所、すむなら(国交省取引価格情報ベース)など複数ソースを突き合わせてまとめました。

流山おおたかの森駅——築浅は「ほぼ5,000万円以上」の世界

流山おおたかの森は築浅マンションの供給が豊富なエリアです。TX開業後に大規模マンションが次々と建設され、築5年以内が全体の22%、築10年以内が43%を占めます(IESHIL調べ)。

ただし、その分価格も高い。すむなら(国交省の取引データベース)によると、流山おおたかの森の中古マンション平均㎡単価は約85.8万円。これを70㎡に換算すると約6,000万円です。築浅に絞ればさらに上がり、ソライエグランなどの築5年以内のマンションは70㎡台で7,000万〜8,000万円台の売り出し価格になっています(マンションナビ調べ)。

「千葉に来れば安い」と思っていた人にはかなりショックな数字かもしれません。正直、都内の築20年マンションを売った手残りだけでは、流山おおたかの森の築浅はかなりキツいです。

柏駅——築10年以内は4,000万〜6,000万円台

LIFULL HOME’Sの2026年3月更新データによると、柏駅の築10年以内・70〜90㎡の物件は4,000万円台が2件、5,000万円台が1件、6,000万円台が1件という分布です。

つまり、ボリュームゾーンは4,000万〜5,000万円台。おおたかの森よりは手が届きやすいものの、全築年数平均の2,900万円とは別世界の価格帯になります。

ダイヤモンド不動産研究所のデータでも、柏駅の㎡単価は全築年数で約40万円/㎡ですが、これは築古を多く含む数字。築浅に絞ると㎡単価50万〜60万円クラスになり、おおたかの森にかなり近づいてきます。

豊四季駅——実は「築浅マンションがほぼない」という衝撃の事実

ここが今回の記事の最大のポイントです。

LIFULL HOME’Sで豊四季駅を「築10年以内」で絞ると、70㎡以上のファミリー向け物件はゼロ。データが「-」表示になります。全築年数の平均価格(2,538万円)は出ますが、築浅に限定すると掲載自体がない。

これは豊四季が「もともと古くからの住宅地で、新築大規模マンション開発がほとんどない」エリアだからです。前回の記事でも触れましたが、駅周辺の築年数構成は築古が圧倒的に多い。つまり、「豊四季で築浅マンションを買う」という選択肢自体がほぼ存在しないんです。

築10年以内の価格比較まとめ

🏠 築10年以内 中古マンション価格比較(70㎡換算目安)
エリア 全築年数平均 築10年以内 差額
流山おおたかの森約4,104万円約6,000万〜8,000万円+2,000万〜
約2,901万円約4,000万〜6,000万円+1,000万〜
豊四季約2,538万円物件なし(データ「-」)

出典:LIFULL HOME’S各駅中古マンション価格相場(2026年3月更新)、すむなら(国交省取引価格情報)、マンションナビ

築年数を揃えると、柏はおおたかの森にかなり近づく。そして豊四季は築浅マンション自体がない。これが「築10年以内で見た」ときの現実です。

豊四季の「築浅物件がない」問題——じゃあ何がある?

「え、じゃあ豊四季は穴場じゃないの?」

いえ、穴場ではあるんです。ただし、「築浅マンション狙い」の人にとっての穴場ではないというだけ。

豊四季で住み替えを考える場合、現実的な選択肢は以下の3つです。

選択肢①:築古マンション+リノベーション

豊四季で最も流通量が多いのは、70㎡前後・築15年以上の中古マンション。オウチーノ(国交省不動産取引価格情報ベース)によると、よく取引される価格帯は約2,000万円前後です。

これに500万〜800万円のリノベーション費用を足しても、合計2,500万〜2,800万円で築浅同等の住空間を手に入れることが可能。都内マンション売却益1,000万円があるなら、住宅ローンの頭金を手厚くできます。

選択肢②:中古戸建て

豊四季エリアは戸建てが多い住宅地。オウチーノ調べでは、よく取引される土地面積は約135㎡前後と広め。「マンションの広さに限界を感じて千葉に来た」人にとっては、戸建てという選択肢自体が大きなメリットです。

70㎡のマンションから庭付き戸建てへ。子ども2人目を考えている世帯にとって、この広さの差は生活の質を大きく変えます。

選択肢③:土地から買って注文住宅——「夢のマイホーム」は意外と手が届く

ここからが今回の追加パート。「どうせ千葉に引っ越すなら、思い切って注文住宅を建てたい」という方、いませんか?

都内のマンション暮らしでは絶対に叶わなかった「庭付き・駐車場付き・自分好みの間取り」。実は豊四季なら、売却益の予算感でも十分狙えるんです。

豊四季の土地相場——おおたかの森の半額以下

SUUMOの売出データによると、東武野田線沿線の土地相場はこんな感じです。

🏗️ 東武野田線沿線 土地の相場比較
駅名 ㎡単価
(参考:坪単価)
130㎡の場合
流山おおたかの森約32.9万円/㎡
(108.6万円/坪)
約4,277万円
約24.1万円/㎡
(79.5万円/坪)
約3,133万円
豊四季約17.7万円/㎡
(58.5万円/坪)
約2,301万円
新柏約18.0万円/㎡
(59.3万円/坪)
約2,340万円
増尾約14.8万円/㎡
(48.8万円/坪)
約1,924万円

出典:SUUMO 各駅 土地価格相場情報(2025年掲載データ)

おおたかの森で130〜150㎡の土地を買うと約4,300万円。それだけで豊四季の「土地+建物」の総予算に近い金額です。豊四季なら同じ広さで約2,300万円。差額の約2,000万円を建物に回せるわけですから、注文住宅の選択肢が一気に広がります。

ちなみに、ダイヤモンド不動産研究所のデータ(国交省取引価格情報ベース)ではさらに安い㎡単価12万円台という数字も出ており、駅距離や立地条件によっては130㎡で1,600万円台の土地も視野に入ります。

用途地域——「静かな住宅街」は都市計画でも裏付けられている

注文住宅で気になるのが、「隣にいきなり商業ビルが建ったりしないか?」という点。ここは用途地域を確認しておけば安心です。

柏市の都市計画区域のうち約48%が第一種低層住居専用地域に指定されています(柏市都市計画のあらまし)。豊四季エリアも、駅の南口周辺は地区計画が定められており、駅前が近隣商業地域、少し離れた住宅街は第一種住居地域。そこからさらに離れた豊四季台・豊住などの住宅地は第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%・容積率100%)が広がっています。

第一種低層住居専用地域とは、ざっくり言うと「2階建てまでの低い住宅しか建てられないエリア」のこと。マンションや商業ビルが建つことはなく、日当たり・風通しが守られた静かな住環境が都市計画レベルで保証されています。庭付き・駐車場1台分の注文住宅を建てるには理想的な環境です。

💰 土地+注文住宅のざっくり試算(土地130〜150㎡に延床100〜120㎡の家)

庭付き・駐車場1台分を確保するなら、土地は130〜150㎡は欲しいところ。延床面積100〜120㎡の2階建てなら、4LDKも十分可能です。

🏠 豊四季で注文住宅を建てた場合の試算
項目 金額目安
🏗️ 土地 130〜150㎡(整形地・前面道路6m以上)約2,000万〜2,500万円
🏠 建物 100〜120㎡(ローコスト〜中堅HM)約1,800万〜2,700万円
📋 諸費用(登記・外構・地盤改良等)約300万〜500万円
合計約4,100万〜5,700万円

※建物の㎡単価はローコストメーカー(約18万円/㎡〜)〜中堅ハウスメーカー(約27万円/㎡)で幅を持たせています。実際の金額はメーカーや仕様により異なります。

頭金1,000万円を入れると借入額は3,100万〜4,700万円。世帯年収830万円なら十分に組める範囲です。

比較してみてください。おおたかの森で70㎡の築浅マンションを6,000万円で買うのと、豊四季で庭付き駐車場付き4LDKの注文住宅を5,000万円前後で建てるの——同じ予算帯で、手に入るものがまったく違います。

⚠️ 土地探しの注意点——こういう土地は避けよう

豊四季は古くからの住宅地なので、土地の形状や接道条件にはバラつきがあります。以下のような土地は価格が安く出がちですが、注文住宅には向かないので避けましょう。

  • 旗竿地(はたざおち):路地状の通路を通って奥に敷地がある形状。車の出し入れが大変で、日当たりも悪くなりがち
  • 間口が狭い土地(3m以下):建物プランに大きな制約が出る。間口6m以上が理想
  • 建築条件付き:指定の建築会社でしか建てられない。自由にHMを選びたいなら「建築条件なし」を選ぶこと
  • セットバックが大きい土地:前面道路が4m未満の場合、道路の中心線から2m後退する必要があり、有効面積が減る

SUUMOやアットホームで探すときは「整形地・前面道路6m以上・建築条件なし」で絞り込むのがおすすめ。実際にオウチーノの売出事例でも、約139㎡・前面道路6m以上・建築条件なし・2,980万円という物件が出ていました。こういう「普通に使いやすい土地」がこの価格で買えるのは、豊四季ならではのメリットです。

シミュレーション:売却益1,000万円+手残りで何が買える?

「都内マンションを売って千葉に移住」を考えている方の条件でざっくりシミュレーションしてみましょう。

前提:手残り1,000万円(頭金)+住宅ローン(世帯年収830万円・借入期間35年・変動0.5%想定)

💰 頭金1,000万円でどんな物件が買える?
エリア・条件 物件価格目安 借入額 月々返済目安
おおたかの森・築浅70㎡6,000万円5,000万円約12.9万円/月
柏駅・築浅70㎡4,500万円3,500万円約9.1万円/月
豊四季・築古+リノベ 70㎡2,800万円1,800万円約4.7万円/月
豊四季・中古戸建て 100㎡+3,000万〜3,500万円2,000万〜2,500万円約5.2万〜6.5万円/月
豊四季・土地+注文住宅 🏠
(土地130〜150㎡+延床100〜120㎡)
4,100万〜5,700万円3,100万〜4,700万円約8.0万〜12.1万円/月

※住宅ローン返済額は変動金利0.5%・35年返済で試算した目安です。実際の金利や審査結果により異なります。管理費・修繕積立金は含んでいません。

注目してほしいのは月々の返済額の差です。おおたかの森の築浅を買うと月12.9万円。都内の家賃18万円よりは安いですが、まだそこそこの金額です。

一方、豊四季で「築古+リノベ」を選ぶと月4.7万円。差額は毎月8万円以上。年間100万円近い差になります。この浮いたお金を教育費・貯蓄・旅行に回せると考えると、生活の余裕がぜんぜん違ってきます。

もちろん、築浅のキレイさ・安心感には替えがたい価値があるのも事実。「お金で安心を買うか、余裕のある生活を取るか」——これはどちらが正解というものではなく、家族の優先順位で決めるものです。

まとめ:築浅にこだわるか、広さを取るか——「豊四季という選択肢」は消えない

今回わかったことを整理します。

条件 おおたかの森 豊四季
築10年以内70㎡6,000万〜8,000万円4,000万〜6,000万円物件なし
全築年数70㎡約4,104万円約2,901万円約2,538万円
築古+リノベ△(築古が少ない)◎(コスパ最強)
戸建て(広さ重視)△(高い)◎(選択肢豊富)
土地+注文住宅✕(土地だけで4,000万超)△(土地3,000万超)◎(土地2,300万〜)

✅ こんな人は「おおたかの森 or 柏の築浅」がおすすめ

  • 売却益+自己資金で頭金を多く入れられる(1,500万円以上)
  • キレイな設備・共用施設・管理体制を重視する
  • TXで秋葉原方面の通勤が多い(おおたかの森の場合)
  • 資産価値の維持を最優先に考えたい

✅ こんな人は「豊四季の築古+リノベ or 戸建て or 注文住宅」がおすすめ

  • 月々の返済額を抑えて、教育費・貯蓄に回したい
  • 広さ(80㎡以上・庭付き)を最優先にしたい
  • 「キレイさ」より「コスパ」で選びたい
  • 2人目の子どもを考えていて、部屋数が必要
  • 「せっかくなら間取りから自分で決めたい」と夢のマイホームにこだわりたい
  • 両隣の人気駅(おおたかの森・柏)の施設を生活圏として使い倒したい

前回の記事で紹介した「豊四季が穴場」という結論は、築浅マンション狙いの人にはそのまま当てはまりません。でも、「築浅にこだわらない」「広さやコスパを優先する」「リノベや戸建てもアリ」と視野を広げた瞬間、豊四季は依然として最高のコスパを発揮するエリアです。

「マンション売れたし、せっかくなら築浅がいい」という気持ちはめちゃくちゃわかります。でも、月々の返済が12万円か5万円かで、日々の暮らしの余裕はまったく変わってくる。その差額を子どもの習い事や家族旅行、あるいは将来の教育資金に回せるなら、築年数より大事なものがあるかもしれません。

どちらを選んでも正解。大事なのは、「自分たちの優先順位を整理してから物件探しを始めること」です。この記事がその整理の助けになればうれしいです。


📎 参考・出典


✍️ この記事を書いた人|ほげたろう

宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)保有。今は不動産テック企業でAIを使った不動産価格の査定システムを開発。「家を売るとき・買うときの情報格差をなくす」がミッション。飛び込み営業時代や不動産投資の失敗も含めたリアルな体験と、日々データと格闘するエンジニア目線の両方から「不動産ゼロからナビ」を運営。4人家族、地方在住。「難しそう」を「なんとかなる」に変える情報を発信中。

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