不動産って、買うだけで「節約」になることがあるって知ってましたか?

携帯のキャリアを乗り換えて年間2〜3万円の節約、保険の見直しで5万円の節約、家電をポイント還元でお得に買って……なんて話、よく聞きますよね。でも不動産は違う。数十万・数百万単位で「得する」か「損する」かが決まる世界なんです。

だからこそ、不動産を買うときはほかのどんな節約よりも、情報収集と価格の目利きが大事になります。

今日は、そんな不動産×お金の話を「ちょっと笑えるけど、ちゃんと学べる」体験談でお届けします。

私が2015年頃、投資用マンションをカードローンで買った話です。「え、カードローンで?」って声が聞こえてきそうですが、まあ聞いてください(笑)。


カードローンでマンションを買う男、現る

当時の私は、不動産投資に興味を持ちはじめた時期でした。「家賃収入があれば、ちょっとした副収入になるんじゃないか」くらいの、ふわっとした気持ち。今思えば危なっかしい動機ですが、当時はそれはもう前向きだったんです。

そして決断の経緯が、これまたシンプルすぎて笑えます。

当時の私は不動産業者に勤めていたので、業者間の物件流通システム「レインズ(REINS)」にアクセスできる環境にありました。レインズというのは不動産会社だけが閲覧できる物件データベースのことで、一般には公開されていない売出情報が大量に載っています。いわば不動産のプロだけが見られる、非公開の在庫リストです。

そこで投資用マンションを検索してみた。エリアは千葉市・松戸市・柏市・浦安市・市川市・船橋市・習志野市あたりで絞り込んで——価格の安い順に並び替えて、いちばん上に出てきた物件を買おうと決めました。

それだけです(笑)。

そこで出会ったのが、千葉市中央区祐光2丁目にある「SKマンション」。東千葉駅から徒歩5〜7分の場所にある、1974年(昭和49年)築のRC造9階建て、総戸数100戸の大型マンションです。

売出価格は270万円。ここに「指値(さしね)」——つまり「200万円でどうですか」という値下げ交渉——を入れたら、あっさり通ってしまった。正直「え、通っちゃった?」という感覚で、気づいたら買い付けが成立していました。

購入価格は200万円(270万円から70万円の値引き交渉成立)。

「200万円って…安すぎない?」と思ったあなた、正解です。そこです、そこが全部の始まりでした。


「安い!」という言葉の魔力

当時のSKマンション周辺、東千葉駅エリアの中古マンション相場はどのくらいだったか。2015年当時、このエリアの築40年超・30〜50㎡の物件は300〜500万円台が中心でした。

ちなみに現在(2025年3月)のSKマンションの参考相場価格は、486万〜4,790万円(㎡単価17〜27万円)と幅があり、直近では53㎡・2LDKの物件が745万円で売り出されています(アットホーム調べ)。最も取引実績の多い31〜40㎡帯の平均販売価格は347万円程度(マンションマーケット調べ)。

2015年の200万円という価格は、それと比べてもかなり安かった。「相場より安い」というだけで、人間は舞い上がります。少なくとも私は舞い上がりました。

そして、その購入資金をどこから調達したかというと——

カードローンでした。


カードローン金利10%×投資用マンション、というパズルの答え

当時のキャッシュフロー(お金の流れ)を整理すると、こうなります。

項目 金額(月)
💰 家賃収入 +35,000円
💸 カードローン返済(月4万円・年10.6%) ▲40,000円
💸 管理費+修繕積立金 ▲9,700円
💸 固定資産税(月割概算) ▲約600円
🚨 手残り ▲約15,000円/月のマイナス!

※ 年間に換算すると約18万円の持ち出し。家賃が入っているのに、毎月1.5万円手元から消えていく状態です。

…月4万円の返済で、家賃収入3.5万円。家賃が入っているのに毎月約1.5万円の赤字です。

そうなんです。使ったのは三菱UFJのカードローン「バンクイック」。200万円という限度額枠での借入になったので、適用金利は年10.6〜13.6%あたりが相場です(2015年当時)。仮に年10.6%の場合、初月の利息だけで約17,700円。実際の返済額は月4万円前後。このうち初月の利息が約17,700円で、元本の返済はたった約22,300円。毎月4万円払っても、半分近くが利息に消えていく構造でした。

ここ、めちゃくちゃ重要なポイントです。月4万円返済・年10.6%の場合でも、200万円の完済には5年7ヶ月・利息だけで約65万円かかる計算になります(元利定額方式・試算)。もし返済を月2万円に下げていたら、なんと20年以上・利息約289万円——200万円借りて合計490万円返す羽目になっていたんです。

ちなみに現在のバンクイックの金利は年1.8〜14.6%(変動金利)で、基本的な上限幅は当時と変わっていません。ただし変動金利のため、今後金利上昇が続けば借入コストがさらに増す可能性があります。

家賃3.5万円が入ってきても、カードローン4万円の返済でまず1.5万円のマイナス。そこから管理費・修繕積立金・固定資産税が追い打ちをかける。毎月の収支は約▲1.5万円、年間で約18万円の持ち出しです。しかも怖いのが——退去されたときの原状回復費用がまったく積み立てられていないという事実です。


原状回復費用、1部屋いくらかかるか知ってますか?

退去後の部屋を次の入居者に貸せる状態にするためには、クリーニングや修繕が必要です。壁紙の張り替え、クッションフロアの貼り替え、ハウスクリーニング……これが1部屋あたり、おおよそ8〜15万円程度かかると言われています(部屋の広さや状態により変動)。

私の物件は築40年超の古い部屋。壁紙も設備も年季が入っていて、いざ退去されたら10万円以上の出費は確実でした。でも毎月の手残りがほぼゼロな状態では、その費用をどこから出せばいいんだという話になります。

しかも、家賃の遅れが「たまにある」という状況。遅れた月は収入がゼロなのに、カードローン返済だけは待ってくれない。

「これは怖い」と気づくのに、そう時間はかかりませんでした。


1年後、280万円で売却。結果は?

購入から約1年後、私はこの物件を280万円で売却しました。

毎月1.5万円の赤字を垂れ流しながらも「カードローンの返済が怖い」という理由で手放した形です。でも、ここで一度きちんと計算してみると——意外な結果が出てきます。

📊 1年間の損益 全部のせ計算

項目 金額
💰 売却益(280万-200万) +800,000円
💰 家賃収入(35,000円×12ヶ月) +420,000円
💸 購入時 仲介手数料 ※1 ▲約110,000円
💸 売却時 仲介手数料 ※1 ▲約145,000円
💸 カードローン利息(1年分) ▲約199,000円
💸 管理費+修繕積立金(1年分) ▲116,400円
💸 固定資産税・印紙税など ▲約8,000円
🎉 最終利益(概算) +約64万円

※ カードローン金利10.6%・月4万円返済・1年間保有として試算。固定資産税は物件評価額から概算。実際の諸費用とは異なる場合があります。
※1 仲介手数料は当時(2015年)の料率で計算。現在は制度が変わっています(下表参照)。

📋 仲介手数料の上限額 制度変遷まとめ

「800万円以下は33万円」という現在のルールを覚えている方も多いと思いますが、2015年当時はそれより安かったです。制度は2回改正されています。

時期 対象価格帯 上限額(税込) 適用対象
〜2017年12月
(2015年当時もこれ)
200万円以下 売買価格の5.5% 売主・買主それぞれ
〜2017年12月
(2015年当時もこれ)
200万円超〜400万円以下 売買価格の4.4%+2.2万円 売主・買主それぞれ
〜2017年12月
(2015年当時もこれ)
400万円超 売買価格の3.3%+6.6万円 売主・買主それぞれ
2018年1月〜
2024年6月
400万円以下(特例) 最大19.8万円(定額) 売主のみ
2024年7月〜
(現在)
800万円以下(特例) 最大33万円(定額) 売主・買主それぞれ
現在も変わらず 800万円超 売買価格の3%+6万円+消費税 売主・買主それぞれ

※ 上限額であり、実際の手数料は不動産会社との合意によって決まります。上限以下であれば交渉可能です。
📖 仲介手数料や媒介契約についてもっと詳しく知りたい方は → 【不動産売却】媒介契約の選び方を徹底解説|不動産ゼロからナビ

64万円のプラス。毎月赤字だったのに、トータルではきちんと利益が出ていたんです。

カラクリは単純で、売却益80万円と家賃収入42万円の合計122万円が、諸費用・利息・管理費などのコスト約58万円を上回ったから。毎月のキャッシュフローはマイナスでも、最後に売却という「出口」があったことで帳尻が合った形です。

これ、もし売れていなかったら(あるいは売値が200万円以下だったら)完全に逆転します。だからこそ「安く買う」が最大の安全策だったとも言えます。仲介手数料が安すぎて「申し訳ない気持ちになった」とは本当の話で、200万円という低価格だからこそ売買コストも小さく、この利益が生まれた。高い物件を同じ感覚でカードローン購入していたら、目も当てられない結果になっていたと思います。


SKマンション、今どうなってる?【周辺市況チェック】

せっかくなので、2025年現在の「SKマンションと周辺の市況」もご紹介します。

SKマンションは千葉県千葉市中央区祐光2丁目にある、1974年(昭和49年)4月築・RC造・9階建て・総戸数100戸のマンションです(施工:鈴屋建設、管理会社:アドバンス、管理方式:日勤)。最寄りはJR総武本線「東千葉」駅で徒歩5〜7分。千葉都市モノレール「千葉公園」駅へ徒歩13分、「栄町」駅へ徒歩14分と複数駅を利用できます。

私が購入したのは6階・32.78㎡(約9.9坪)の部屋。管理費4,850円/月・修繕積立金4,850円/月で、合計月9,700円のランニングコストがかかります。

現在の売買・賃貸相場の目安はこちらです(各社データより2025〜2026年時点)。

📊 売買相場(㎡単価ベース・部屋タイプ別)

部屋タイプ 面積帯の目安 ㎡単価の目安 総額の目安
🧳 単身向け(1R・1DK) 28〜33㎡ 約16〜17万円/㎡ 約450〜560万円
👫 カップル向け(2DK・2LDK) 43〜54㎡ 約16〜19万円/㎡ 約690〜1,050万円
👨‍👩‍👧 ファミリー向け(3LDK) 59〜67㎡ 約17〜18万円/㎡ 約1,000〜1,200万円

※ マンションマーケット・LIFULL HOME’S・マンションレビュー各社データをもとに算出。階数・向き・リフォーム状況により変動します。
⚠️ 「4,790万円」という数字について:一部サイトには「486万〜4,790万円」という相場レンジが記載されていますが、この上限値は同マンション内に存在する174㎡超という超大型区画(一般的な戸数の2〜3倍規模の特殊な部屋)の参考価格です。通常流通している一般的な部屋の価格ではないためご注意ください。

🏠 賃料相場(㎡単価・坪単価ベース・部屋タイプ別)

部屋タイプ 面積帯の目安 坪賃料の目安 月額賃料の目安
🧳 単身向け(1R・1DK) 28〜33㎡ 約3,500〜4,200円/坪 約3.5〜4.5万円/月
👫 カップル向け(2DK・2LDK) 43〜54㎡ 約4,400〜4,900円/坪 約6.0〜8.3万円/月

※ マンションレビュー・マンションマーケット各社データより。実際の賃料は入居時期・条件によって異なります。

📈 参考表面利回り:8.2〜10.0%(マンションマーケット調べ・2DK/43㎡例)

表面利回りが8〜10%というのは数字だけ見ると高く見えます。でも「表面利回り(ひょうめんりまわり)」というのは、諸経費をいっさい含まない粗利ベースの数字。管理費・修繕積立金・固定資産税・空室リスク・原状回復費用などを引いた「実質利回り」はぐっと下がります。

また東千葉駅エリアのマンション価格は、千葉県内でも下位25%に属する低価格帯で、値崩れリスクがやや高いエリアとも評されています(住まいインデックス調べ)。値ごろ感のある物件が多い一方、資産価値という観点では慎重に見極めが必要なエリアです。

ちなみに千葉市中央区全体の中古マンション価格は、直近3年で約8.25%上昇しており(住まいインデックス調べ)、エリア全体としての地価は底堅く推移しています。


この話から学べる3つのこと

笑えるような体験談ですが、ここから引き出せる教訓はわりとリアルで大事なものばかりです。

① 「安く買う」は最大の節約になりえる

携帯代の節約が年3万円、保険の見直しが年5万円……そういった積み重ねはとても大切です。でも不動産を相場より100万円安く買えたら、それだけで10年分の積み上げ節約額を一気に超えます。不動産購入は「最大の節約チャンス」でもある。そういう目線を持って交渉に臨むことが大事です。

② 資金調達方法によって、キャッシュフローは激変する

カードローンの金利は10%前後が一般的です(消費者金融系・カード会社系など)。一方、住宅ローンや投資用ローン(銀行融資)の金利は1〜4%台が多い。この差は月々のキャッシュフローに直結します。不動産購入のときは「いくら借りるか」と同じくらい「どこから・何%で借りるか」が重要です。

③ 不動産屋さんの言われるがままに動かないこと

購入の勢いがあるとき、リフォームの提案や追加保険の勧めが来ることがあります。「せっかくだし」「プロが言うなら」と乗ってしまうのが一番危ない瞬間です。不動産購入後の余剰資金には手をつけず、冷静に必要なものだけに絞る。気が大きくなっているときほど、立ち止まる勇気が必要です。


でも、「安く買えたから」救われたのは本当の話

あの200万円という価格がなければ、この話はもっと悲惨な結末を迎えていたと思います。カードローンという選択は今でも「やらかした」と思いますが、物件価格そのものが安かったおかげで被害は最小限で済んだ。

これって、不動産投資に限らず、マイホーム購入にも言えることじゃないかなと思うんです。

「気に入った物件だから相場よりちょっと高くても仕方ない」と思わずに、ちょっと値交渉してみるだけで、数十万円が動く世界です。不動産は数字が大きいぶん、数%の値交渉が信じられないほどのインパクトを持ちます。

100万円の節約なら、毎月1万円ずつ8年以上かかります。でも値交渉の一言が、それを一瞬で達成することもある。そう考えると、不動産購入のときに使うエネルギーって、めちゃくちゃコスパが高いと思いませんか。

千葉に移住を検討している方も、ぜひこの「安く買う目線」を忘れずに。地域をよく知って、相場を調べて、ちゃんと交渉する。それだけで人生の財務設計がずいぶん変わってきます。


次回も、こんな感じで「ちょっと笑えてちゃんと使える」話をお届けします。お楽しみに!


📎 参考・出典

✍️ この記事を書いた人|ほげたろう

宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)保有のフルスタックエンジニア。不動産系サービス会社に勤務しながら、飛び込み営業時代や不動産投資の失敗も含めたリアルな体験をもとに「不動産ゼロからナビ」を運営。4人家族、地方在住。「難しそう」を「なんとかなる」に変える情報を発信中。

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