「そろそろ都内の賃貸、限界かも…」「マンション売って郊外に引っ越したいけど、保育園って大丈夫?」

共働きで子育て中のご家庭にとって、引っ越し先で保育園に入れるかどうかって、家賃や間取りと同じくらい――いや、それ以上に気になるポイントですよね。

せっかく広い家に引っ越せても、保育園に入れなかったら仕事を続けられない。そうなったら家計のプランが根本から崩れてしまいます。

この記事では、こども家庭庁の公的データ(令和7年4月1日時点)をもとに、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の待機児童が多い市区町村ランキングと、逆に待機児童ゼロを達成している”安心エリア”をまとめました。

「引っ越し先、ここにしようかな」と検討中の方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

そもそも「待機児童」って何?数字のカラクリも知っておこう

まず基本から確認しておきましょう。待機児童とは、保育所などの利用を希望して申し込みをしているのに、定員オーバーなどの理由で入所できない子どものことです。

こども家庭庁が毎年4月1日時点で全国調査を行い、結果を公表しています。令和7年(2025年)の最新調査によると、全国の待機児童数は2,254人。ピークだった2017年の26,081人から8年連続で減少し、10分の1以下になりました(出典:こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」)。

「じゃあもう安心なんじゃ?」と思うかもしれませんが、ここに大きな落とし穴があります。

⚠ 「隠れ待機児童」の存在を忘れないで!

実は、統計上の「待機児童」にカウントされない子どもたちがいます。これを「保留児童」「隠れ待機児童」と呼びます。たとえば、こんなケースです。

  • ✅ 希望の保育園に入れず、やむなく認可外施設に通っている
  • ✅ 特定の保育園だけを希望していて、他を辞退した
  • ✅ 育児休業を延長して「待ち」の状態
  • ✅ 求職活動を休止している

こうした子どもたちは待機児童にカウントされないため、数字だけを見て「待機児童ゼロだから安心!」と思い込むのは危険なんです。エリアを選ぶときは、待機児童数だけでなく、保留児童数や入園倍率(申込数に対する内定数の割合)もあわせてチェックするのがおすすめです。

【2025年最新】一都三県の待機児童ワーストランキング

ここからが本題です。こども家庭庁の公表データおよび各自治体の公表資料をもとに、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で待機児童が多い市区町村をランキングにしました。

※データは令和7年(2025年)4月1日時点のものです。令和6年(2024年)4月1日時点のデータも一部含みます。

🏆 一都三県 待機児童ワーストランキング TOP20

順位都県市区町村待機児童数前年比
1東京都世田谷区47人⬇ 58→47
2東京都町田市40人⬆ 28→40
3東京都日野市30人⬆ 増加
4埼玉県戸田市18人⬆ 0→18
5神奈川県鎌倉市9人⬇ 34→9

📊 出典:こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」および東京都「都内の保育サービスの状況について(令和7年4月1日現在)」より作成
※上記はこども家庭庁の公式PDF・東京都のプレスリリースで個別に確認できた一都三県の主要自治体のみを掲載しています。一都三県全体の待機児童数は、東京都339人・埼玉県208人・千葉県91人・神奈川県138人です(令和7年4月1日時点)。
※千葉県は前年(83人)から8人増加しており、一都三県で唯一増加している点に注意が必要です。

ランキングを見て気づくこと――「意外なエリア」がワースト上位に

ランキングを見ると、「え、そこ?」と思うような市区町村が上位に入っていませんか?

ここで注目したいポイントをいくつかまとめます。

📍 埼玉県は減少傾向だが油断禁物

埼玉県全体では208人(前年241人から33人減少)。前年にランクインしていた北本市(32人→0人)のように大幅改善した自治体がある一方、戸田市が前年0人→18人と新たに待機児童が発生しました。宅地開発や転入者の増加による保育ニーズの変動が大きいのが埼玉県の特徴です。

その背景には、宅地開発による子育て世帯の転入増加があります。都内から「ちょっと郊外に」と引っ越してくるファミリーが増えた結果、保育園の整備が追いつかなくなっているんです。まさに、この記事を読んでいるあなたと同じような家族が集中しているエリアなんですね。

📍 世田谷区がまたワースト1位に

東京都内では世田谷区が47人で引き続きワースト1位(前年58人からは減少)。実は世田谷区、2020年に一度「待機児童ゼロ」を達成したんですが、2023年に10人、2024年に58人と急増し、2025年は47人とやや改善したものの依然トップです。世田谷区の報告によると、育児休業給付金の延長手続き変更の影響で申し込みが増えたことや、保育人材の不足で計画通りの定員確保ができなかったことが要因とされています。

📍 神奈川は大幅改善、鎌倉市は34人→9人に

神奈川県全体では138人(前年188人から大幅減)。前年に上位だった鎌倉市は34人→9人と大きく改善しました。保育人材の確保や利用定員の拡大が奏功したとみられます。一方で、住環境の良さで子育て世帯の転入が続くエリアでは引き続き注意が必要です。

📍 千葉県は一都三県で唯一の増加(83人→91人)

千葉県全体では91人と、前年の83人から8人増加。一都三県で唯一、待機児童が増えている点は要注意です。都心へのアクセスが良いエリアに子育て世帯が集中し、保育ニーズの増加に施設整備が追いつかない構図が続いています。千葉県への移住を検討中の方は、必ず候補エリアの自治体に最新の待機児童状況を問い合わせましょう。

逆に安心なのはどこ?待機児童ゼロの”穴場”エリア一覧

「じゃあ、どこなら安心して引っ越せるの?」という疑問にお答えします。

一都三県には、待機児童ゼロを達成し続けている自治体がたくさんあります。ここでは、都心へのアクセスもそこそこ良く、子育てファミリーの引っ越し先として現実的なエリアをピックアップしました。

🟢 埼玉県の待機児童ゼロ自治体(主要エリア)

  • さいたま市(4年連続ゼロ!)
  • 三郷市・吉川市(地域型保育を積極展開)
  • 鴻巣市・上尾市・桶川市
  • ふじみ野市・志木市
  • 越谷市(人口約34万人でゼロ達成)

🟡 千葉県の待機児童ゼロ自治体(主要エリア)

  • 千葉市(県庁所在地でゼロ継続)
  • 松戸市(保育所整備に注力)
  • 流山市(子育て世帯急増でも対応)
  • 浦安市・習志野市
  • 我孫子市・印西市
  • 木更津市・成田市

🔵 神奈川県の待機児童ゼロ自治体(主要エリア)

  • 相模原市(政令市でゼロ)
  • 厚木市・大和市
  • 海老名市・平塚市
  • 茅ヶ崎市・小田原市
  • 秦野市・伊勢原市

🔴 東京都の待機児童ゼロ自治体(23区抜粋)

  • 千代田区・港区・目黒区
  • 杉並区・豊島区・品川区
  • 文京区・台東区・江東区
  • 練馬区・板橋区・足立区
  • 八王子市・立川市・府中市

📊 出典:こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」、東京都「都内の保育サービスの状況について(令和7年)」、各県の待機児童数公表資料より作成
※待機児童ゼロ=「保留児童もゼロ」とは限りません。詳しくは各自治体の窓口にお問い合わせください。

特に注目したいのがさいたま市です。人口約134万人の大都市でありながら4年連続で待機児童ゼロを維持しています。同様に、千葉県の流山市は「母になるなら、流山市。」というキャッチコピーで子育て世帯を積極的に呼び込みながらも、保育園整備を先行させてゼロを達成しています。

待機児童の数だけじゃダメ!引っ越し前にチェックすべき5つのポイント

ランキングを見て「ここなら大丈夫そう」と思ったエリアがあったとしても、待機児童数だけで判断するのはちょっと危ないです。

引っ越し前に必ず確認しておきたいポイントを5つまとめました。

  • 1 保留児童数(隠れ待機児童)を確認
    待機児童ゼロでも、保留児童が数百人いるケースは珍しくありません。自治体のホームページや窓口で「保留児童数」を聞いてみましょう。
  • 2 1歳児クラスの入園倍率をチェック
    待機児童の約83%は1・2歳児(0歳児を含めると3歳未満児で全体の約91%)(出典:こども家庭庁)。特に育休明けの1歳4月入園は全国的に最激戦です。自治体の「入園のしおり」で1歳児の倍率を確認しましょう。
  • 3 認可保育園の数と定員充足率
    施設が多くても、すでに定員いっぱいなら意味がありません。「定員充足率」が95%を超えているエリアは、空きが少ない可能性が高いです。
  • 4 選考基準(点数制度)の特徴
    フルタイム共働き+両親が遠方で何点になるか、兄弟加点はあるかなど、自治体によって点数の付け方が全然違います。「同じスペックなのにA市では入れてB市では落ちた」ということも。
  • 5 小規模保育・企業主導型保育の受け皿
    認可保育園以外にも、0〜2歳向けの小規模保育事業所や企業主導型保育所があると「保険」になります。選択肢が多いエリアほど安心です。

1歳児がめちゃくちゃ入りにくい理由、知ってますか?

先ほど「待機児童の約83%は1・2歳児」と書きましたが、中でも1歳児クラスが最も入りにくいと言われています。

その理由はシンプルです。

育児休業は「子どもが1歳になるまで」が基本。つまり、多くのママが子どもが1歳になる4月に復職しようとします。その結果、1歳児クラスに申し込みが殺到するんです。

一方で、0歳児クラスからの持ち上がりがあるため、1歳児クラスの「新規受け入れ枠」は実はかなり少ない。たとえば定員12名のクラスでも、0歳からの持ち上がりが6名いれば、新規枠は6名しかありません。そこに20〜30名の申し込みが入れば、倍率は3〜5倍に跳ね上がります。

だからこそ、引っ越しのタイミングが超重要。申し込み締め切り(多くの自治体で11〜12月)に間に合うように引っ越すのか、それとも引っ越し前に申し込みだけしておけるのか。このあたりは自治体によってルールが違うので、早めの確認が必要です。

保育園だけじゃない!学童保育の「小1の壁」も見落とさないで

保育園に無事入れたとしても、小学校に上がったときに今度は学童保育(放課後児童クラブ)の待機児童問題が待っています。これが俗にいう「小1の壁」です。

こども家庭庁の最新調査(令和7年5月1日時点)によると、学童保育の待機児童数は全国で約17,000人。都道府県別では以下の通りです。

都県学童保育の待機児童数
東京都3,360人
埼玉県1,681人
千葉県1,106人
神奈川県1,067人

📊 出典:こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業の実施状況(令和7年5月1日現在)」

一都三県だけで約7,200人と、全国の学童待機児童の約4割を占めています。保育園のことだけ考えて引っ越して、数年後に「学童に入れない!」となったら本当につらいですよね。

引っ越し先を選ぶときは、保育園と学童保育の両方の状況を確認しておくことを強くおすすめします。

実際にエリアを比べるとき、どうやって情報を集めればいい?

「データがあるのはわかったけど、忙しくて調べる時間がないよ…」という気持ち、めちゃくちゃわかります。フルタイム共働きで未就学児がいて、家事もあって、その上で引っ越し先の保育園事情まで調べるなんて、正直しんどいですよね。

そこで、効率よく情報を集めるためのステップをまとめました。

STEP① まずは自治体の「保育園入園のしおり」をダウンロード

候補エリアの自治体ホームページで「入園のしおり」「入所案内」を検索してください。PDFで公開されていることがほとんどです。ここに選考基準(点数表)、申し込みスケジュール、園の一覧と定員がすべて載っています。

STEP② 「保育コンシェルジュ」に電話で相談

多くの自治体では、保育園探しの相談を受け付ける「保育コンシェルジュ」という専門の相談員がいます。電話一本で「今の空き状況」「おすすめの園」「引っ越し前でも申し込めるか」を教えてもらえます。無料なので使わない手はありません。

STEP③ 「えんさがそっ♪」「保育園まるごとランキング」などのサイトを活用

こども家庭庁が運営に関わる「ここdeサーチ」(子ども・子育て支援情報公表システム)では、住所から近くの保育施設を一覧検索できます。口コミや評判は「保育園まるごとランキング」などの民間サイトも参考になります。

都内から郊外への引っ越し、保育園目線でいちばん賢い動き方

最後に、「都内の賃貸や持ち家マンションから、神奈川・埼玉・千葉への引っ越し」を考えている方に向けて、保育園目線でいちばん賢い動き方をまとめます。

1

夏(7〜8月):候補エリアを3つに絞る
この記事のランキングと待機児童ゼロ一覧を参考に、通勤時間・家賃・間取りの条件と照らし合わせて候補を3エリアまで絞りましょう。

2

秋(9〜10月):保育コンシェルジュに電話&保育園見学
候補エリアの保育コンシェルジュに連絡し、引っ越し前でも申し込みが可能か確認。可能であれば保育園見学のスケジュールを組みます。

3

秋〜冬(10〜12月):4月入園の申し込み
多くの自治体では11〜12月が4月入園の申し込み締め切り。「転入予定」で申し込みできる自治体も多いので、引っ越しが3月でも申し込みは先にできます。

4

冬(1〜2月):内定通知を確認してから物件を確定
保育園の内定通知(多くは2月頃)を確認してから、賃貸契約や住宅購入の最終判断をするのが安全。内定が出なかった場合の「プランB」も考えておきましょう。

5

春(3〜4月):引っ越し&入園
物件の引き渡し・引っ越しと入園を同時期に。バタバタしますが、ここさえ乗り越えれば新生活のスタートです!

ポイントは「保育園の内定を確認してから住まいを確定する」という順番です。住まいを先に決めてしまうと、保育園に入れなかった場合にリカバリーが難しくなります。

もちろん、住宅購入の場合は「内定を待ってから契約」が難しいケースもあります。その場合は、候補エリアの待機児童状況を十分に確認した上で判断しましょう。

まとめ:引っ越し先の保育園事情は「家選び」の一部です

この記事の要点をまとめます。

  • ✅ 全国の待機児童は8年連続で減少中(2025年4月時点で2,254人)。ただし「隠れ待機児童」は統計に含まれない
  • ✅ 一都三県では世田谷区(47人)、町田市(40人)、日野市(30人)、戸田市(18人)がワースト上位(令和7年4月1日時点)
  • ✅ 埼玉県は全体で減少傾向だが、宅地開発が進む自治体では急に待機児童が発生するケースあり(戸田市が0→18人など)
  • ✅ 一方でさいたま市・千葉市・流山市・北本市・相模原市など、待機児童ゼロを達成・維持している自治体もたくさんある
  • ✅ 待機児童数だけでなく、保留児童数・1歳児入園倍率・学童保育の状況もチェックを
  • ✅ 「保育園の内定→住まいの確定」の順番がベスト

家選びは間取りや家賃だけじゃなくて、「子どもが保育園に入れるかどうか」まで含めて初めて完成するものだと思います。

忙しい毎日の中で調べるのは大変ですが、この記事のデータが少しでもあなたの引っ越し計画の役に立てばうれしいです。

気になるエリアがあれば、まずは自治体の保育コンシェルジュに電話してみてください。それだけで、ぐっと安心感が変わりますよ。


📊 出典・参考資料
・こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」(2025年8月公表)
・こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和6年4月1日)」(2024年8月公表)
・こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業の実施状況(令和7年5月1日現在)」
・東京都福祉局「都内の保育サービスの状況について(令和7年4月1日現在)」
・各都県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の待機児童数公表資料
※本記事のデータは2025年4月1日時点の公的データに基づいています。最新の状況は各自治体にお問い合わせください。


✍️ この記事を書いた人|ほげたろう

宅建士(2014年取得)・FP1級(2019年取得)保有のフルスタックエンジニア。不動産系サービス会社に勤務しながら、飛び込み営業時代や不動産投資の失敗も含めたリアルな体験をもとに「不動産ゼロからナビ」を運営。4人家族、地方在住。「難しそう」を「なんとかなる」に変える情報を発信中。

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